救急外来における心電図画像リアルタイム送信がもたらす効果

救急外来(emergency room; ER)における業務効率化は,患者利益だけでなく医師や看護師の業務負担軽減に繋がる。当院ERの心電図検査は,検査依頼入力から電子カルテによる画像参照までの手順が煩雑であるのに加え,リアルタイム画像送信に対応していなかった。今回,ERにおいてWireless Fidelity(以下,Wi-Fi)を用い,安全かつリアルタイムな画像送信の運用を構築したのでその効果を報告する。現状分析では①検査依頼入力から画像送信まで作業工程が7つあり煩雑である。②患者識別番号(以下,ID)入力間違いによるインシデント発生の可能性や,心電図画像確認作業に時間を要することが課題で...

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Published in医学検査 Vol. 74; no. 3; pp. 553 - 560
Main Authors 河邊 拓, 北川 文彦, 垣田 彩子, 尾崎 行男, 有嶋 拓郎, 伊藤 弘康, 岩井 由香利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2025
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.24-85

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Summary:救急外来(emergency room; ER)における業務効率化は,患者利益だけでなく医師や看護師の業務負担軽減に繋がる。当院ERの心電図検査は,検査依頼入力から電子カルテによる画像参照までの手順が煩雑であるのに加え,リアルタイム画像送信に対応していなかった。今回,ERにおいてWireless Fidelity(以下,Wi-Fi)を用い,安全かつリアルタイムな画像送信の運用を構築したのでその効果を報告する。現状分析では①検査依頼入力から画像送信まで作業工程が7つあり煩雑である。②患者識別番号(以下,ID)入力間違いによるインシデント発生の可能性や,心電図画像確認作業に時間を要することが課題であった。Wi-Fi運用により①技師による心電図のシステム送信,患者属性の確認,および心電図オーダーへの紐づけ作業が不要となり,作業工程を4つに削減した。②バーコードリーダーによるID読み取りで,患者情報の誤入力防止を可能とした。③リアルタイム画像送信により,迅速な診療に対応が可能となった。④画像送信作業に要する処理時間削減効果は最大70%以上であった。Wi-Fiを用いた運用は,患者情報の誤入力防止や心電図画像のリアルタイム送信を可能とし,ERにおける業務効率向上だけでなく,安全かつ迅速な診療の提供に寄与した。また,記録後の心電図処理や送信作業などに要す時間が大幅に削減され業務負担軽減に繋がった。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.24-85