顎関節症における開口障害の簡易病態分類

顎関節症における開口障害の病態は非復位性関節円板転位が多いといわれ, 治療としてパンピングマニピュレーションなどにより転位した円板による下顎頭の滑走障害を改善する治療が行われる。しかし, 現在では癒着や円板転位がなく下顎頭が滑走する状態であっても開口障害が生ずることなどが報告されている。 臨床におけるこのような状況から, 開口障害を治療するにあたり治療方針設定に直結できる病態分類と簡易に適用可能な病態分類診断基準を考案し, 40mm以下の開口障害61例に適用し, 開口障害の病態について検討した。 1. 61例の開口障害例に症型分類と上記病態分類を適用した結果, I型と症型分類されたものが57%...

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Published inJournal of the Japanese Society for the Temporomandibular Joint Vol. 15; no. 1; pp. 55 - 59
Main Authors 山崎, 真司, 中川, 種昭, 大塚, 友乃, 和嶋, 浩一, 近田, 正道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2003
The Japanese Society for Temporomandibular Joint
Subjects
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.15.55

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Summary:顎関節症における開口障害の病態は非復位性関節円板転位が多いといわれ, 治療としてパンピングマニピュレーションなどにより転位した円板による下顎頭の滑走障害を改善する治療が行われる。しかし, 現在では癒着や円板転位がなく下顎頭が滑走する状態であっても開口障害が生ずることなどが報告されている。 臨床におけるこのような状況から, 開口障害を治療するにあたり治療方針設定に直結できる病態分類と簡易に適用可能な病態分類診断基準を考案し, 40mm以下の開口障害61例に適用し, 開口障害の病態について検討した。 1. 61例の開口障害例に症型分類と上記病態分類を適用した結果, I型と症型分類されたものが57%と最も多く, また, 筋性開口障害と病態分類されたものが58%と最も多かった。 2. 症型分類と病態分類を比較した結果, 両者の結果が一致したものは全体では75%で, 円板転位 (III型と癒着・円板性開口障害) に関しては56%, 筋障害 (I型と筋性開口障害) に関しては86%であった。 従来, 開口障害の症型としてIIIb型が重要視されていたが, 今回の検討では筋性開口障害が最も多いことがわかった。また, 症型分類系統診断法に従って除外単独診断すると, IIIb型と診断された中にも筋性開口障害が含まれる可能性があり, 開口障害の治療にあたっては病態分類が必要であることが示唆された。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.15.55