創傷治癒の阻害された部位への骨髄液由来多血小板血漿 (bm-PRP) 移植
創傷治癒能力の低下した部位に対する手術では創し開,潰瘍化等が発生し,治療に難渋することが多い。われわれは穿刺吸引して得られた骨髄液を遠心分離することにより,骨髄有核細胞と血小板を同時に,簡単に濃縮することができることを報告し,"bone marrow derived platelet rich plasma : bm-PRP" と呼んでいる。放射線照射,慢性虚血,ステロイド長期投与等,創傷治癒障害が予想される部位の手術を行った際,閉創時,術創にbm-PRPを注射した。 骨髄液に対してbm-PRP中では有核細胞は約3倍に,血小板は約7倍に濃縮されていた。1回の手術あたり平均1...
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Published in | 創傷 Vol. 4; no. 2; pp. 66 - 72 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本創傷外科学会
2013
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1884-880X |
DOI | 10.11310/jsswc.4.66 |
Cover
Summary: | 創傷治癒能力の低下した部位に対する手術では創し開,潰瘍化等が発生し,治療に難渋することが多い。われわれは穿刺吸引して得られた骨髄液を遠心分離することにより,骨髄有核細胞と血小板を同時に,簡単に濃縮することができることを報告し,"bone marrow derived platelet rich plasma : bm-PRP" と呼んでいる。放射線照射,慢性虚血,ステロイド長期投与等,創傷治癒障害が予想される部位の手術を行った際,閉創時,術創にbm-PRPを注射した。 骨髄液に対してbm-PRP中では有核細胞は約3倍に,血小板は約7倍に濃縮されていた。1回の手術あたり平均13.5×107個の有核細胞が移植された。全例で3週間以内に創閉鎖が得られ,骨髄液の採取やbm-PRP注射による有害事象は認められなかった。 bm-PRP作成は大掛かりな設備が必要でもなく,比較的安価に短時間で行える。創傷治癒障害が予想される部位に,手術を行う際にbm-PRP注射を併用することは有用ではないかと考える。 |
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ISSN: | 1884-880X |
DOI: | 10.11310/jsswc.4.66 |