性感染症の現況と問題点

日本における性感染症の現況と問題点を,4つの視点から取り上げる.1.性感染症の疫学,2.梅毒の増加とStop!梅毒プロジェクト,3.耐性淋菌の問題,そして4.Mycoplasma genitaliumの問題についてである.疫学は,感染症法5類としての5疾患(全数把握:梅毒,定点把握:性器クラミジア感染症,性器ヘルペス,尖圭コンジローマ,淋菌感染症)の動向調査結果と厚生科学研究の結果を紹介する.梅毒は2018年まで急峻に増加が見られたが,2019年,2020年とその増加にブレーキが掛かっている.Stop!梅毒プロジェクトの効果か,新型コロナウイルス感染症流行の影響か,今後の検証が必要である.耐性...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 36; no. 1; pp. 1 - 20
Main Author 荒川, 創一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.01.2021
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Summary:日本における性感染症の現況と問題点を,4つの視点から取り上げる.1.性感染症の疫学,2.梅毒の増加とStop!梅毒プロジェクト,3.耐性淋菌の問題,そして4.Mycoplasma genitaliumの問題についてである.疫学は,感染症法5類としての5疾患(全数把握:梅毒,定点把握:性器クラミジア感染症,性器ヘルペス,尖圭コンジローマ,淋菌感染症)の動向調査結果と厚生科学研究の結果を紹介する.梅毒は2018年まで急峻に増加が見られたが,2019年,2020年とその増加にブレーキが掛かっている.Stop!梅毒プロジェクトの効果か,新型コロナウイルス感染症流行の影響か,今後の検証が必要である.耐性淋菌の問題は,セフトリアキソンのMICが0.5 μg/mL以上の株が世界で散見されており,今後の動向が注視されるべきである.性感染症としての男性尿道炎における原因菌として淋菌,クラミジアに次ぐ第3の原因微生物として,Mycoplasmagenitaliumにどう対処するかも,その薬剤耐性を含め課題である.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.36.1