外国人労働者における成人水痘5例の疫学的検討
2016年4月から2019年5月に当院で診断された外国人労働者の成人水痘5例について報告する.また同時期に診断した日本人の成人水痘5例,すべての水痘および帯状疱疹患者の年代別分布,発症月別分布も疫学的に検討した.外国人水痘患者5例はすべてベトナム人であり,平均年齢は22.6±0.8歳であった.日本人成人水痘患者5例は,平均年齢が64.6±21.2歳と年代にばらつきがあった.成人水痘患者を含む水痘患者の総数は54例であり,その年代別分布において10歳未満の小児が41例(75%)と多かった.帯状疱疹患者総数は73例であり日本人のみであった.その年代別分布において発症は70歳代が最も多く,21例(2...
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Published in | 日本環境感染学会誌 Vol. 37; no. 1; pp. 25 - 30 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本環境感染学会
25.01.2022
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Subjects | |
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ISSN | 1882-532X 1883-2407 |
DOI | 10.4058/jsei.37.25 |
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Summary: | 2016年4月から2019年5月に当院で診断された外国人労働者の成人水痘5例について報告する.また同時期に診断した日本人の成人水痘5例,すべての水痘および帯状疱疹患者の年代別分布,発症月別分布も疫学的に検討した.外国人水痘患者5例はすべてベトナム人であり,平均年齢は22.6±0.8歳であった.日本人成人水痘患者5例は,平均年齢が64.6±21.2歳と年代にばらつきがあった.成人水痘患者を含む水痘患者の総数は54例であり,その年代別分布において10歳未満の小児が41例(75%)と多かった.帯状疱疹患者総数は73例であり日本人のみであった.その年代別分布において発症は70歳代が最も多く,21例(28.8%)であった.水痘と帯状疱疹患者の発症月別分布を比較すると,帯状疱疹患者は2月と8月に多く1年を通して発症していたが,水痘患者は夏にはおらず,3~5月と11~1月に二峰性のピークを示した.外国人水痘患者が発症した時期は1月,5月,11月であり,日本人の水痘患者が多い時期と一致していた.さらに外国人水痘5例のうち4例は,日本に入国して3週間以上経過後に発症しており,入国してから初感染の成人水痘を発症した可能性が高いと考えた.来日する水痘に免疫のない外国人労働者に対して,水痘ワクチン接種の必要性を勧奨することが重要である. |
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ISSN: | 1882-532X 1883-2407 |
DOI: | 10.4058/jsei.37.25 |