スパイロメーターを用いたCOVID-19罹患妊婦における呼吸機能の評価:単一施設による症例対照研究

本邦のCOVID-19の重症度分類は酸素飽和度,呼吸器症状,画像所見を軸に規定されている.2021年の第5波では多くの妊婦も罹患し,非重症にもかかわらず遷延する息苦しさを訴える症例にしばしば遭遇した.重症度分類には反映されにくい呼吸状態を定量化して評価する目的で呼吸機能検査を実施した.妊娠後期にCOVID-19に罹患した妊婦17例中10例(58.8%)に隔離解除直後に拘束性換気障害を認めた.対標準肺活量(% VC)は非感染妊婦と比較し有意に低かった.感染妊婦のうち産後一ヶ月健診時に拘束性換気障害を認めたのは13例中1例(7.7%)のみで,% VCは有意に改善していた.この結果は罹患妊婦全例に呼...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 85 - 92
Main Authors 鹿戸, 佳代子, 古谷, 毅一郎, 張, 良実, 山下, 紗弥, 田中, 良知, 竹本, 祐基, 坪内, 弘明, 廣瀨, 陸人, 小松, 直人, 荻田, 和秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2025
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.61.1_85

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Summary:本邦のCOVID-19の重症度分類は酸素飽和度,呼吸器症状,画像所見を軸に規定されている.2021年の第5波では多くの妊婦も罹患し,非重症にもかかわらず遷延する息苦しさを訴える症例にしばしば遭遇した.重症度分類には反映されにくい呼吸状態を定量化して評価する目的で呼吸機能検査を実施した.妊娠後期にCOVID-19に罹患した妊婦17例中10例(58.8%)に隔離解除直後に拘束性換気障害を認めた.対標準肺活量(% VC)は非感染妊婦と比較し有意に低かった.感染妊婦のうち産後一ヶ月健診時に拘束性換気障害を認めたのは13例中1例(7.7%)のみで,% VCは有意に改善していた.この結果は罹患妊婦全例に呼吸機能検査を推奨するものではないが,産後一ヶ月健診以降も遷延する呼吸機能異常がある場合には妊娠中に罹患したCOVID-19の一般的な経過から逸脱している可能性があるとする臨床上の重要な目安を示した.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.61.1_85