黄砂の健康影響に関する疫学文献レビュー:2009年-2018年
「はじめに」黄砂は, ユーラシア大陸内陸部の乾燥地域で強風によって数千mの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って飛来し, 大気中に浮遊あるいは降下する現象である. 気象庁による観測では, 1967~2018年の日本での黄砂観測日数は, 年平均20.2日であり, 4月をピークとし2~5月の4か月間に年間観測日数の約9割が観察されている. 黄砂に曝露されることによって, 呼吸器系疾患や循環器系疾患等, 人への健康に影響があることが近年報告されている. 橋爪らは, 黄砂の健康影響に関する疫学文献レビューを1980年1月1日~2009年5月31日の間に公表された論文について行った. 当...
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Published in | 日本衛生学雑誌 Vol. 74; pp. 19010 - 0 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本衛生学会
2019
日本衛生学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5082 1882-6482 |
DOI | 10.1265/jjh.19010 |
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Summary: | 「はじめに」黄砂は, ユーラシア大陸内陸部の乾燥地域で強風によって数千mの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って飛来し, 大気中に浮遊あるいは降下する現象である. 気象庁による観測では, 1967~2018年の日本での黄砂観測日数は, 年平均20.2日であり, 4月をピークとし2~5月の4か月間に年間観測日数の約9割が観察されている. 黄砂に曝露されることによって, 呼吸器系疾患や循環器系疾患等, 人への健康に影響があることが近年報告されている. 橋爪らは, 黄砂の健康影響に関する疫学文献レビューを1980年1月1日~2009年5月31日の間に公表された論文について行った. 当時は, 日本における疫学研究の知見はほとんどなく, 主に, 台湾, 韓国の知見に限定されていた. また, 曝露評価や交絡因子の調整が明確に記述されていない文献が多く, 十分なエビデンスがあるとは言いがたい状況であった. 2010年以降は, 我が国の知見も得られるようになった. そこで本研究では, 前回レビューから10年近く経過したことから, 黄砂のヒトへの健康影響に関する前回レビュー以降の疫学的知見と今後の研究課題を明らかにすることを目的とした. |
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ISSN: | 0021-5082 1882-6482 |
DOI: | 10.1265/jjh.19010 |