新生児の末梢静脈カテーテル固定における透明フィルムと非滅菌テープの輸液トラブル発症比較
Centers for Disease Control and Prevention(CDC)ガイドラインでは末梢静脈カテーテルの挿入部位を観察するため,滅菌透明フィルムドレッシング材を使用することが推奨されているが,輸液漏れを起こしやすい新生児への滅菌透明フィルムドレッシング使用に関する研究は少ない.透明フィルム固定と非滅菌テープ固定における輸液トラブル発症を比較し,透明フィルム固定が輸液トラブル発症のリスク因子になり得るかを解析した.新生児病棟入院児を対象とし前期(4か月)は非滅菌テープ固定,後期(4か月)は透明フィルム固定とし,固定から1週間以内に発生した輸液トラブルを記録した.治療終了...
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Published in | 日本環境感染学会誌 Vol. 37; no. 2; pp. 35 - 40 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本環境感染学会
25.03.2022
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Summary: | Centers for Disease Control and Prevention(CDC)ガイドラインでは末梢静脈カテーテルの挿入部位を観察するため,滅菌透明フィルムドレッシング材を使用することが推奨されているが,輸液漏れを起こしやすい新生児への滅菌透明フィルムドレッシング使用に関する研究は少ない.透明フィルム固定と非滅菌テープ固定における輸液トラブル発症を比較し,透明フィルム固定が輸液トラブル発症のリスク因子になり得るかを解析した.新生児病棟入院児を対象とし前期(4か月)は非滅菌テープ固定,後期(4か月)は透明フィルム固定とし,固定から1週間以内に発生した輸液トラブルを記録した.治療終了前のカテーテル抜去をカテーテル不全とし主要評価項目とした.カテーテル挿入例は延べ239例で内77例(32%)は透明フィルム,162例(68%)がテープであった.カテーテル不全はフィルム群43例(56%),テープ群95例(59%)でほぼ同等の発症率であった.Cox比例ハザード分析にて,カテーテル不全発症リスク因子は高張輸液(ハザード比[95%信頼区間]8.31[3.03-22.80]),輸液速度3 mL/時以上(2.61[1.75-3.91])で,フィルム固定は有意なリスク因子ではなかった.新生児においても透明フィルムドレッシングは安全に使用できる可能性がある. |
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ISSN: | 1882-532X 1883-2407 |
DOI: | 10.4058/jsei.37.35 |