1997 年から2006 年までに分離されたインフルエンザ菌, 肺炎球菌の薬剤耐性推移
1997 年から2006 年までの10 年間に当科で分離されたインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)606 株,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)502 株を対象として薬剤耐性の推移をみた.インフルエンザ菌では,1997~1998 年にはβ-lactamase nonproducing ampicillin-susceptible H. influenzae(BLNAS)が72.0%,1999~ 2000 年はBLNAS 69.6%で耐性株の比率も比較的低かった.以後は著明に耐性株が多くなり,2005~2006 年にはBLNAS は31.0%...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 83; no. 4; pp. 347 - 354 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.07.2009
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi.83.347 |
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Summary: | 1997 年から2006 年までの10 年間に当科で分離されたインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)606 株,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)502 株を対象として薬剤耐性の推移をみた.インフルエンザ菌では,1997~1998 年にはβ-lactamase nonproducing ampicillin-susceptible H. influenzae(BLNAS)が72.0%,1999~ 2000 年はBLNAS 69.6%で耐性株の比率も比較的低かった.以後は著明に耐性株が多くなり,2005~2006 年にはBLNAS は31.0%と減少し,intermediate-resistant+β-lactamase nonproducing ampicillin-resistant H. influenzae(BLNAR)は65.5%と増加した.年齢3歳未満では3歳以上に比較して,早期から著明にintermediate-resistant+BLNARの比率が増加していた.肺炎球菌では,1999~2000 年にはpenicillinsusceptible S. pneumoniae(PSSP)は18.4%のみと耐性化が著明であったが,2005~2006 年にはPSSP が38.2%となり,耐性株の比率が減少しつつある.年齢3 歳以上では早期にpenicillin-intermediate S. pneumoniae(PISP)+penicillin-resistant S. pneumoniae(PRSP)の比率が減少し始め,3 歳未満では遅れてみられた.これらの年齢による耐性株分離比率の変動の違いは,3 歳未満での集団生活のはじまり,免疫学的未熟性,抗菌薬使用状況の違いが関与していると推察されるが,耐性化の推移をみるには年齢別に検討すべきと考えられた.BLNAR に対するcefditoren(CDTR),cefcapene(CFPN)のminimum inhibitory concentration(MIC),および,PRSP に対するCDTR,CFPN,faropenem のMIC は10 年間での明らかな悪化はなかったが,BLNAR の著増に対して一般診療における初期治療の基準の再検討が必要である. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi.83.347 |