S4-1.救命救急センターに搬送された思春期自殺未遂者の危機介入と支援

「I. はじめに」 警察庁発表の統計によると, 平成24年以降の本邦の自殺者総数は30,000人を下回っている一方で, 児童・思春期(19歳以下)の自殺既遂者は, 平成10年以降は500人を下回ることがない状況が続いている(警察庁生活安全局企画課, 2014). また, 厚生統計協会による『国民衛生の動向』(厚生労働統計協会, 2014)によれば, 15歳から19歳の死因順位として自殺は1位となっている. 本邦における児童・思春期の自殺については, この数年間以上のような状況が続いており, 明らかな減少傾向は認められていない. このような状況の中で, 2000年以降わが国における思春期自殺企図...

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Published in児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 57; no. 4; pp. 565 - 568
Main Authors 大西, 雄一, 三上, 克央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本児童青年精神医学会 01.08.2016
日本児童青年精神医学会
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ISSN0289-0968
2424-1652
DOI10.20615/jscap.57.4_565

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Summary:「I. はじめに」 警察庁発表の統計によると, 平成24年以降の本邦の自殺者総数は30,000人を下回っている一方で, 児童・思春期(19歳以下)の自殺既遂者は, 平成10年以降は500人を下回ることがない状況が続いている(警察庁生活安全局企画課, 2014). また, 厚生統計協会による『国民衛生の動向』(厚生労働統計協会, 2014)によれば, 15歳から19歳の死因順位として自殺は1位となっている. 本邦における児童・思春期の自殺については, この数年間以上のような状況が続いており, 明らかな減少傾向は認められていない. このような状況の中で, 2000年以降わが国における思春期自殺企図の観察研究が救命救急センターに搬送された例を中心にいくつか報告されている. 本稿では近年の研究成果を踏まえ, 本邦の思春期自殺企図例の精神医学的特徴を概説し, 当院救命救急センターにおける危機介入と支援について提示しつつ, 子どもの自殺の危機介入と支援について述べたい.
ISSN:0289-0968
2424-1652
DOI:10.20615/jscap.57.4_565