特別養護老人ホームにおけるCOVID-19クラスター発生時の対応について

2020年4月18日より4階建ての特別養護老人ホームにおいて,2階より10名の発熱者が出現し,新型コロナウイルスに対するPCR検査をホームで行い9名が陽性と判定され,当院に収容した.4月27日全入居者と全職員にホームでPCR検査を行った.その結果,入居者21名,ショートステイ1名と職員6名が陽性となった.陽性者22名をホームの2階に集めて,陰性者は3階と4階に移動した.ホームの2階と3階にゾーニングを行い,電子カルテ上に仮想病棟を構築し,検査や投薬点滴のオーダーができるようにし,入居者の状態も病院で把握できるようにした.ホームで血液検査や尿検査を行い,精査が必要と判断された場合,病院に搬送した...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 36; no. 2; pp. 92 - 97
Main Authors 白石, 廣照, 木下, 庸佑, 三浦, 邦久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.03.2021
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Summary:2020年4月18日より4階建ての特別養護老人ホームにおいて,2階より10名の発熱者が出現し,新型コロナウイルスに対するPCR検査をホームで行い9名が陽性と判定され,当院に収容した.4月27日全入居者と全職員にホームでPCR検査を行った.その結果,入居者21名,ショートステイ1名と職員6名が陽性となった.陽性者22名をホームの2階に集めて,陰性者は3階と4階に移動した.ホームの2階と3階にゾーニングを行い,電子カルテ上に仮想病棟を構築し,検査や投薬点滴のオーダーができるようにし,入居者の状態も病院で把握できるようにした.ホームで血液検査や尿検査を行い,精査が必要と判断された場合,病院に搬送した.5月13日,69名に2回目のPCR検査を行い,2階は15名が陽性となり,3階から新たに3名が陽性となったため,この3名は2階に移動した.5月27日から6月19日まで,PCR検査を4回繰り返し,すべての入居者が2回連続陰性となったのを確認して,クラスターは収束したと判断した.この間,肺炎や多臓器不全などの合併症により,6名が死亡し,入居者の死亡率は14.3%だった.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.36.92