S1-1.思春期自殺企図症例と自閉スペクトラム症
「I. 発達障害の自殺研究」 思春期における自殺既遂者や自殺未遂者の精神医学的な臨床研究は, 1980年代以降英米や北欧, オセアニアを中心に膨大な観察研究が進められてきた(Gould, 2003). 思春期自殺の精神医学的特徴は次第に明らかになりつつあり, 当該観察研究の成果に基づき欧米では介入研究, ひいては予防研究の段階にある. かかる状況にもかかわらず, 思春期ASDの自殺は疫学研究の対象とならなかった. それはおそらく, ASD概念が国際的な診断概念として登場したのが1980年に発刊されたDSM-III以降に認知されてきた(アスペルガー症候群の概念は「アスペルガー障害」としてDSM-...
Saved in:
Published in | 児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 57; no. 4; pp. 486 - 489 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
01.08.2016
日本児童青年精神医学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0289-0968 2424-1652 |
DOI | 10.20615/jscap.57.4_486 |
Cover
Summary: | 「I. 発達障害の自殺研究」 思春期における自殺既遂者や自殺未遂者の精神医学的な臨床研究は, 1980年代以降英米や北欧, オセアニアを中心に膨大な観察研究が進められてきた(Gould, 2003). 思春期自殺の精神医学的特徴は次第に明らかになりつつあり, 当該観察研究の成果に基づき欧米では介入研究, ひいては予防研究の段階にある. かかる状況にもかかわらず, 思春期ASDの自殺は疫学研究の対象とならなかった. それはおそらく, ASD概念が国際的な診断概念として登場したのが1980年に発刊されたDSM-III以降に認知されてきた(アスペルガー症候群の概念は「アスペルガー障害」としてDSM-IV以降に登場した)事情が関連していると思われた. 「II. 思春期ASDと自殺」 1. ASDの自殺企図の特徴 われわれは, 2004年10月から2007年7月までの間に当院高度救命救急センターに自殺企図で入院となった960名のうち, 20歳未満の94名(連続サンプル)を対象とし, ASD群と非ASD群とに分類し比較検討を行った(Mikami, 2009, 以下自験例). |
---|---|
ISSN: | 0289-0968 2424-1652 |
DOI: | 10.20615/jscap.57.4_486 |