下顎埋伏智歯抜歯のSSIに対する治療抗菌薬の使用実態調査
歯性感染症の治療抗菌薬に関しては,日本感染症学会/日本化学療法学会感染症治療ガイド(治療抗菌薬ガイドライン)で推奨抗菌薬や投与期間などが示されているが,手術部位感染(SSI)治療抗菌薬に関するガイドラインはない.そこで今回,下顎埋伏智歯抜歯後のSSI治療抗菌薬について治療抗菌薬ガイドラインを参考に後ろ向きに調査した.2015年1月~2019年12月に新潟大学医歯学総合病院歯科外来で下顎埋伏智歯抜歯後にSSIと診断された患者を対象に,SSI治療抗菌薬の種類,アモキシシリン(AMPC)の1回用量,投与期間,細菌検査の有無などについて調査した.その結果,SSI発生率は1.6%(96/5,940症例)...
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Published in | 日本環境感染学会誌 Vol. 37; no. 2; pp. 62 - 68 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本環境感染学会
25.03.2022
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Summary: | 歯性感染症の治療抗菌薬に関しては,日本感染症学会/日本化学療法学会感染症治療ガイド(治療抗菌薬ガイドライン)で推奨抗菌薬や投与期間などが示されているが,手術部位感染(SSI)治療抗菌薬に関するガイドラインはない.そこで今回,下顎埋伏智歯抜歯後のSSI治療抗菌薬について治療抗菌薬ガイドラインを参考に後ろ向きに調査した.2015年1月~2019年12月に新潟大学医歯学総合病院歯科外来で下顎埋伏智歯抜歯後にSSIと診断された患者を対象に,SSI治療抗菌薬の種類,アモキシシリン(AMPC)の1回用量,投与期間,細菌検査の有無などについて調査した.その結果,SSI発生率は1.6%(96/5,940症例)で,治療抗菌薬ガイドラインで推奨されているAMPC投与は経時的に増加し,2019年では70.4%(19/27症例)であった.AMPCが選択された症例の1回用量の多くは250 mg,投与期間は4日間,細菌検査の実施率は11.5%(11/96症例)であった.治療抗菌薬ガイドライン上,切開が必要とされる重篤なSSIでは,AMPCの1回量は500 mgとされているが,当該症例での1回用量は全て推奨用量の半量であった.本調査からSSI治療抗菌薬投与期間はガイドラインに沿っていたものの,治療抗菌薬の選択,AMPCの1回用量および細菌検査の実施については改善の余地があると思われた. |
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ISSN: | 1882-532X 1883-2407 |
DOI: | 10.4058/jsei.37.62 |