非アルコール性脂肪性肝炎発症・進展の機序解明と予防 新しいNASHモデル動物からのアプローチ
「はじめに」非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は, 殆どあるいは全く飲酒歴はなく, B型肝炎ウイルス抗原とC型肝炎ウイルス抗体も陰性であるが, 肝臓内に過剰の脂肪が蓄積することによって肝臓の様々な組織学的変化を引き起こしている状態を指す. 単純性脂肪肝(NAFL)から肝炎・線維症(非アルコール性脂肪性肝炎, NASH)へ, さらには肝硬変・肝がんに進展する幅広い病態を示す. アメリカ人の約20%, 日本人の約30%, 中国や香港人のそれぞれ15%, 25%が罹患している普遍的な疾病である. NAFLDの組織学的特徴はアルコール性肝炎と類似しているが, 過剰の飲酒歴が無く発症している点であ...
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Published in | 日本衛生学雑誌 Vol. 70; no. 3; pp. 197 - 204 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本衛生学会
2015
日本衛生学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5082 1882-6482 |
DOI | 10.1265/jjh.70.197 |
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Summary: | 「はじめに」非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は, 殆どあるいは全く飲酒歴はなく, B型肝炎ウイルス抗原とC型肝炎ウイルス抗体も陰性であるが, 肝臓内に過剰の脂肪が蓄積することによって肝臓の様々な組織学的変化を引き起こしている状態を指す. 単純性脂肪肝(NAFL)から肝炎・線維症(非アルコール性脂肪性肝炎, NASH)へ, さらには肝硬変・肝がんに進展する幅広い病態を示す. アメリカ人の約20%, 日本人の約30%, 中国や香港人のそれぞれ15%, 25%が罹患している普遍的な疾病である. NAFLDの組織学的特徴はアルコール性肝炎と類似しているが, 過剰の飲酒歴が無く発症している点である. NAFLDの中で, NAFLは比較的良性の肝疾患とされているが, NASH病態は深刻であり, 線維症や肝硬変, 肝がんへと進展していく場合がある. Rafiqらは, 131名のNAFLD患者を平均18.5年間追跡した. |
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ISSN: | 0021-5082 1882-6482 |
DOI: | 10.1265/jjh.70.197 |