抗N–methyl–D–aspartate受容体脳炎の動向

「はじめに」 脳炎/脳症は命を脅かす疾患であり, 多くの原因がある. N-methyl-d-Aspartate(NMDA)受容体脳炎の確立は, 2007年米国ペンシルバニア大学(現バルセロナ大学)のDalmauらが, 卵巣奇形腫に合併した12例の脳炎をまとめ, 奇形腫の神経細胞に発現するNMDA受容体サブユニットに対するNR1/NR2 heteromer抗体を検出し, NMDA受容体脳炎として報告したことにはじまる. この報告以後本症を含めた自己免疫性脳炎(autoimmune encephalitis: AE)の研究の進歩は著しく, 多くの神経抗体やその病像が解明されてきた. NMDA受容体...

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Published in神経治療学 Vol. 39; no. 3; pp. 327 - 331
Main Author 亀井, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経治療学会 2022
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ISSN0916-8443
2189-7824
DOI10.15082/jsnt.39.3_327

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Summary:「はじめに」 脳炎/脳症は命を脅かす疾患であり, 多くの原因がある. N-methyl-d-Aspartate(NMDA)受容体脳炎の確立は, 2007年米国ペンシルバニア大学(現バルセロナ大学)のDalmauらが, 卵巣奇形腫に合併した12例の脳炎をまとめ, 奇形腫の神経細胞に発現するNMDA受容体サブユニットに対するNR1/NR2 heteromer抗体を検出し, NMDA受容体脳炎として報告したことにはじまる. この報告以後本症を含めた自己免疫性脳炎(autoimmune encephalitis: AE)の研究の進歩は著しく, 多くの神経抗体やその病像が解明されてきた. NMDA受容体脳炎は脳炎全体の4%を占め, 脳炎全体の4%を占めAEの中で最も頻度が高いと考えられている. 本稿では, NMDA受容体脳炎の最近の動向について, 1. 診断・臨床像の進展, 2. 発症機序および3. 治療動向の順で概説する.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.39.3_327