抗菌薬療法の教育の受講と看護実践に関する全国実態調査

看護師の抗菌薬療法に関する教育の受講と静脈注射の看護実践の現状を明らかにし,必要な教育と看護実践の向上を検討するための示唆を得ることを目的とした.全国特定機能・がん拠点・300床以上の地域医療支援173病院の病棟看護師681名を対象に,質問紙調査を実施した.調査内容は,抗菌薬に関する教育内容17項目の受講,時間依存性・濃度依存性抗菌薬の知識,静脈注射による抗菌薬投与の看護実践:意識・実践内容・医師の指示に関することとした.質問紙の回収数は381部(回収率55.9%)であった.受講が70%以上であった項目は4項目であった.PK-PD理論の受講は9.6%,ブリストルスケールを活用した便性状のアセス...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 37; no. 1; pp. 1 - 9
Main Authors 佐藤, ゆか, 長崎, 由紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.01.2022
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Summary:看護師の抗菌薬療法に関する教育の受講と静脈注射の看護実践の現状を明らかにし,必要な教育と看護実践の向上を検討するための示唆を得ることを目的とした.全国特定機能・がん拠点・300床以上の地域医療支援173病院の病棟看護師681名を対象に,質問紙調査を実施した.調査内容は,抗菌薬に関する教育内容17項目の受講,時間依存性・濃度依存性抗菌薬の知識,静脈注射による抗菌薬投与の看護実践:意識・実践内容・医師の指示に関することとした.質問紙の回収数は381部(回収率55.9%)であった.受講が70%以上であった項目は4項目であった.PK-PD理論の受講は9.6%,ブリストルスケールを活用した便性状のアセスメントの受講は36.6%,時間依存性・濃度依存性抗菌薬の種類の受講は42.9%・37.3%であった.時間依存性抗菌薬では,等間隔での投与が「出来ている」のは51.9%であった.副作用のアセスメントを「意識している」「やや意識している」は90%以上であり,このうち,下痢の情報収集は62.0%,ブリストルスケール活用は28.3%であった.抗菌薬投与に関する医師の指示が「必ずある」のは,50%未満であった.強化・改善が必要な看護実践は,受講が少ない傾向があり,看護実践を促進していくためには,卒後教育の充実,使用頻度が高い抗菌薬に関するOJTの充実,医師の明確な指示の必要性が示唆された.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.37.1