ガスクロマトグラフィーによる母乳及び血液中の亜硝酸塩,硝酸塩の定量
母乳及び血液中の亜硝酸塩と硝酸塩の簡便で,精度の良好な同時定量法について検討した.亜硝酸塩は既報{分化,30,269(1981).}の方法によりテトラゾロフタラジンに誘導した.硝酸塩は約57%の硫酸中で反応させることによりそのニトロ化体に誘導した.2-s-ブチルフェノールのニトロ化体をトルエンで抽出し,トルエン層を水洗後,10%炭酸ナトリウム水溶液で逆抽出したものについてペンタフルオロベンゾイルクロライドでエステル化した.これをベンゼンで抽出し,先のテトラゾロフタラジンと合し,5%OV-17カラムと電子捕獲型検出器を用いるガスクマトグラフィー(ECD-GC)により測定した.この結果,亜硝酸性窒...
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Published in | 分析化学 Vol. 31; no. 5; pp. 265 - 270 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本分析化学会
01.05.1982
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Summary: | 母乳及び血液中の亜硝酸塩と硝酸塩の簡便で,精度の良好な同時定量法について検討した.亜硝酸塩は既報{分化,30,269(1981).}の方法によりテトラゾロフタラジンに誘導した.硝酸塩は約57%の硫酸中で反応させることによりそのニトロ化体に誘導した.2-s-ブチルフェノールのニトロ化体をトルエンで抽出し,トルエン層を水洗後,10%炭酸ナトリウム水溶液で逆抽出したものについてペンタフルオロベンゾイルクロライドでエステル化した.これをベンゼンで抽出し,先のテトラゾロフタラジンと合し,5%OV-17カラムと電子捕獲型検出器を用いるガスクマトグラフィー(ECD-GC)により測定した.この結果,亜硝酸性窒素として(0.01~0.15)μg/ml,硝酸性窒素として(0.01~0.10)μg/mlの範囲で検量線の直線性が認められた.母乳及びヒトプラズマを用いた添加回収実験の平均値は,亜硝酸性窒素0.1μgから0.5μgの間で(95.4~97.8)%であり,硝酸性窒素0.50μgから2.00μgの間で(91.1~98.5)%であった.変動係数はいずれも10%以内であった.本法の検出限界は母乳で亜硝酸塩は0.01ppm,硝酸塩は0.05ppmであり,血液では亜硝酸塩は0.004ppm,硝酸塩は0.02ppmである.又,2-s-ブチルフェノールのニトロ化反応は,Al+3,及びS2-などのイオンの外は影響を受けない.更にCl-の妨害は硫酸銀の添加により除去できた.本法は母乳及び血液中の亜硝酸塩,硝酸塩の同時定量に十分応用できる. |
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ISSN: | 0525-1931 |
DOI: | 10.2116/bunsekikagaku.31.5_265 |