地域看護学実習の実習到達度と実習前理解度,実習内容時間との定量的関連分析(地域看護活動報告)

目的:地域看護学実習の到達度と実習前の地域看護学に関する知識の理解度(実習前理解度とする)および実習内容時間との関連を定量的に明らかにすることを目的とする.方法:実習前理解度,実習内容時間,実習終了後の到達度について,いずれも学生の実習自己評価のデータを用いて分析した.解析対象は,看護学科3年107人(有効回答率94.7%)とした.調査日は,実習前理解度は平成17年8月に,実習後の到達度は各学生の地域看護学実習期間が終了した時点とし,平成17年10月,12月,平成18年1月である.到達度に関連する要因の解析は,線形回帰分析を適用した.単回帰モデルにおいて,実習施設および実習内容時間のいずれかに...

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Published in日本地域看護学会誌 Vol. 11; no. 1; pp. 76 - 80
Main Authors 椛, 勇三郎, 西田, 和子, 佐藤, 祐佳, 石井, 敦子, 藤丸, 知子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地域看護学会 2008
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Summary:目的:地域看護学実習の到達度と実習前の地域看護学に関する知識の理解度(実習前理解度とする)および実習内容時間との関連を定量的に明らかにすることを目的とする.方法:実習前理解度,実習内容時間,実習終了後の到達度について,いずれも学生の実習自己評価のデータを用いて分析した.解析対象は,看護学科3年107人(有効回答率94.7%)とした.調査日は,実習前理解度は平成17年8月に,実習後の到達度は各学生の地域看護学実習期間が終了した時点とし,平成17年10月,12月,平成18年1月である.到達度に関連する要因の解析は,線形回帰分析を適用した.単回帰モデルにおいて,実習施設および実習内容時間のいずれかに到達度との有意な関連性が認められた場合に限り,実習施設と実習内容時間の交互作用項を重回帰モデルに投入した.結果:重回帰分析の主要な結果として,地域特性・生活環境と健康問題の関連(目標2)の到達度では,実習施設が市町村の場合,到達度が高い傾向を示した(β=0.25,p=0.008).実習内容時間を4分類,「個別的援助」,「集団的援助」,「地区活動」,「その他」とし,目標1から4までの到達度との関連をみたが,関連性は認められなかった.保健所・市町村における機能・役割(目標1)の実習前理解度は,目標1から4までのすべての到達度との関連性が示唆された(β=0.29,p=0.002;β=0.23,p=0.016;β=0.27,p=0.004;β=0.31,p=0.001).結論:学生の実習自己評価における実習目標の到達度に関連する要因として,保健所・市町村における機能・役割(目標1)の実習前理解度との関連性が認められた.また,地域特性・生活環境と健康問題の関連(目標2)の到達度では,実習施設との関連性が示唆された.なお,実習内容時間との関連性は示唆されなかった.
ISSN:1346-9657
2432-0803
DOI:10.20746/jachn.11.1_76