両側冠動脈入口部の高度狭窄を認めた高安動脈炎の1例

症例は24歳女性.既往歴.1か月前からの労作時呼吸困難および胸痛にて受診.心電図変化はないものの,軽度の心筋逸脱酵素の上昇を認め,冠動脈疾患を疑い緊急入院となった.冠動脈造影にて両側冠動脈入口部に高度狭窄病変を認めた.検査中にPEAとなり,E-CPR(CA-ECMO,IABP挿入)を施行.両側冠動脈入口部病変に対してPCIを施行した.心肺停止時間は約30分であった.低体温療法を施行し,第12病日心機能の軽度改善を認めたため,VA-ECMO離脱を試みたが,酸素化が保てずVVECMO導入とした.その後,肺胞出血等を合併し,2次性肺高血圧症による循環不全が進行.多臓器不全に至り第16病日に死亡確認と...

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Published in心臓 Vol. 49; no. SUPPL.1; p. S1_123
Main Authors 藤井, 崇博, 渡辺, 雅之, 小原, 浩, 酒井, 浩多, 大久保, 亮, 田巻, 一義, 本田, 満, 吉原, 克則, 池田, 隆徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 28.08.2017
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Summary:症例は24歳女性.既往歴.1か月前からの労作時呼吸困難および胸痛にて受診.心電図変化はないものの,軽度の心筋逸脱酵素の上昇を認め,冠動脈疾患を疑い緊急入院となった.冠動脈造影にて両側冠動脈入口部に高度狭窄病変を認めた.検査中にPEAとなり,E-CPR(CA-ECMO,IABP挿入)を施行.両側冠動脈入口部病変に対してPCIを施行した.心肺停止時間は約30分であった.低体温療法を施行し,第12病日心機能の軽度改善を認めたため,VA-ECMO離脱を試みたが,酸素化が保てずVVECMO導入とした.その後,肺胞出血等を合併し,2次性肺高血圧症による循環不全が進行.多臓器不全に至り第16病日に死亡確認となった.今回我々は両側冠動脈入口部の高度狭窄を認めた高安動脈炎の1例を経験した.本症例に類似する報告は散見されるものの,突然死の原因として広く知られていない.突然死の予防の観点からも高安動脈炎に伴う冠動脈病変の認知は重要であり,文献的考察を交えて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.S1_123