健診におけるH. pylori抗体ラテックス凝集法試薬の検討~カットオフ値について

【目的】胃がんリスク層別化検査における血清ヘリコバクターピロリ抗体(Hp抗体)の測定において、ELISA法、CLEIA法、LA法の3種の測定法を比較し、ABC検診におけるLA法の適正なカットオフ値を検討する。【方法】書面で了解を得た人間ドック受診者929名を対象とし、受診時に採血した新鮮血清を用いて、ペプシノゲンⅠ/ⅡをCLEIA法とLA法で、Hp抗体をELISA法、CLEIA法、LA法で測定し、井上らの提唱に従ってA・B・C・D群に層別化した。内視鏡検査による萎縮の程度は木村・竹本分類によった。【結果】929名は、C0分類が832名、C1分類が32名、C2分類が26名、C3分類が13名、O1...

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Published in総合健診 Vol. 49; no. 5; pp. 499 - 509
Main Authors 馬上, 典子, 八巻, 悟郎, 山縣, 文夫, 中道, 陽子, 宮川, なおみ, 細井, 克美, 大野, 恭子, 堀之内, 優子, 中河原, 亜希子, 白幡, 季大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 10.09.2022
日本総合健診医学会
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Summary:【目的】胃がんリスク層別化検査における血清ヘリコバクターピロリ抗体(Hp抗体)の測定において、ELISA法、CLEIA法、LA法の3種の測定法を比較し、ABC検診におけるLA法の適正なカットオフ値を検討する。【方法】書面で了解を得た人間ドック受診者929名を対象とし、受診時に採血した新鮮血清を用いて、ペプシノゲンⅠ/ⅡをCLEIA法とLA法で、Hp抗体をELISA法、CLEIA法、LA法で測定し、井上らの提唱に従ってA・B・C・D群に層別化した。内視鏡検査による萎縮の程度は木村・竹本分類によった。【結果】929名は、C0分類が832名、C1分類が32名、C2分類が26名、C3分類が13名、O1分類が16名、O2分類が6名、O3分類が4名であった。ELISA法(カットオフ値(CO):3U/mL)では、A群が849名、B群が59名、C群が17名、D群が4名であった。CLEIA法(CO:4.0単位/mL)では、それぞれ849名、59名、16名、5名とほぼ一致していた。LA法(富士フイルム和光純薬製)(CO:4.0単位/mL)では、それぞれ823名、83名、18名、5名となったが、LA法におけるCOを6.0単位/mLとすることで他の二法とほぼ同様の結果が得られた。対象母集団により得られるCOは変動する可能性が示唆された。【結論】各種検診におけるスクリーニング検査では、偽陰性を少なくし、偽陽性を許容範囲に抑える必要がある。また、多数検体を精度よく測定するには、自動分析装置に適用できる必要もある。LA法ではCOを6.0単位/mLとした場合に他の二法とほぼ同様の結果が得られた。LA法は汎用自動分析装置で使用できることため、対象者数が多いABC検診に適していると考えられる。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.49.499