車椅子離床に難渋した重度肥満症例 ─耐荷重135 kgのティルト・リクライニング型車椅子の使用経験

病院内で車椅子は広く使用されているが、その多くの車椅子の耐荷重は100 kgまでであり、体重がそれ以上の症例には使用できない。今回、両下肢筋力低下が著明で基本動作能力が全介助状態の高度肥満症例を担当したが、病院内の備品で使用可能な車椅子がなく、近隣の福祉用具専門相談員を通じて耐荷重135 kgかつシート幅45 cmのティルト・リクライニング型車椅子を借りることができた。また、症例の移乗方法は患者の安全な離床と職員の腰痛予防の観点からスライディングボードを使用して行った。症例の車椅子離床を開始し、座位保持能力改善やベッドサイドでは受けられなかった検査・治療が行えた。さらに、本症例を通じて、主治医...

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Published in支援工学理学療法学会誌 Vol. 2; no. 1; pp. 38 - 44
Main Authors 栗田, 慎也, 藤田, 里美, 宮崎, 亜希子, 小磯, 寛, 中山, 玄康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本支援工学理学療法学会 30.09.2022
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ISSN2436-6951
DOI10.57302/jatpt.2.1_38

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Summary:病院内で車椅子は広く使用されているが、その多くの車椅子の耐荷重は100 kgまでであり、体重がそれ以上の症例には使用できない。今回、両下肢筋力低下が著明で基本動作能力が全介助状態の高度肥満症例を担当したが、病院内の備品で使用可能な車椅子がなく、近隣の福祉用具専門相談員を通じて耐荷重135 kgかつシート幅45 cmのティルト・リクライニング型車椅子を借りることができた。また、症例の移乗方法は患者の安全な離床と職員の腰痛予防の観点からスライディングボードを使用して行った。症例の車椅子離床を開始し、座位保持能力改善やベッドサイドでは受けられなかった検査・治療が行えた。さらに、本症例を通じて、主治医や看護師などが病院内に重度肥満症例に対応可能な車椅子がない現状を知り、購入に至った。院内・院外の多職種で共有・検討することで、症例に適した車椅子の借用や院内備品の購入につながった。
ISSN:2436-6951
DOI:10.57302/jatpt.2.1_38