W9-1  RA

CD4+T細胞サブセットの中でTh-17がRAの発症に重要な役割を果たしていると考えられているが,関節炎発症過程におけるCD4+T細胞の分化制御機構は十分に検討されていない.我々はT細胞分化のマスター転写因子の過剰発現マウスにおいてRAの動物モデルであるコラーゲン誘導関節炎(collagen induced arthritis ; CIA)の解析を行ってきた.Th-1分化のマスター転写因子T-betをT細胞で過剰発現したT-betトランスジェニックマウス(T-bet Tg)においては,野生型C57BL/6マウス(WT)と比較して関節炎が有意に抑制された.抗原であるII型コラーゲン(CII)投与...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 36; no. 5; p. 359
Main Authors 坪井, 洋人, 松本, 功, 高橋, 智, 飯塚, 麻菜, 住田, 孝之, 横澤, 将宏, 近藤, 裕也, 田原, 昌浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2013
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.36.359

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Summary:CD4+T細胞サブセットの中でTh-17がRAの発症に重要な役割を果たしていると考えられているが,関節炎発症過程におけるCD4+T細胞の分化制御機構は十分に検討されていない.我々はT細胞分化のマスター転写因子の過剰発現マウスにおいてRAの動物モデルであるコラーゲン誘導関節炎(collagen induced arthritis ; CIA)の解析を行ってきた.Th-1分化のマスター転写因子T-betをT細胞で過剰発現したT-betトランスジェニックマウス(T-bet Tg)においては,野生型C57BL/6マウス(WT)と比較して関節炎が有意に抑制された.抗原であるII型コラーゲン(CII)投与後のマウスから採取したリンパ節細胞をCII存在下で培養した場合,T-bet TgではIL-17産生の有意な低下とCD4+T細胞におけるT-betの発現亢進とTh-17分化のマスター転写因子RORγtの発現抑制が観察され,T-betが抗原特異的Th-17分化を抑制することで関節炎発症を抑制している可能性が示唆された.次にRORγtをT細胞で過剰発現したRORγtトランスジェニックマウス(RORγt Tg)にCIAを誘導したところ,予想に反しWTと比較して有意に関節炎が抑制された.in vitroの検討ではIL-17産生は亢進していたが,血清中の抗CII抗体価の有意な低下が認められた.現在,関節炎抑制機序の解析のため細胞移入実験などによる検討を行っている.以上の結果は,転写因子発現によるT細胞分化制御が自己免疫性関節炎の発症に強く影響することを示している.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.36.359