心内膜・心筋中層に起源を有する2種類の心室頻拍に心内膜側からのカテーテル治療が有効であった心サルコイドーシスの1例

薬剤抵抗性の心室頻拍(VT)によるelectrical stormで再入院した心サルコイドーシス症例.カテーテルアブレーションは心内膜アプローチで行った.左室voltage mappingで前壁の広範囲と後壁の一部に低電位領域を同定した.プログラム電気刺激で興奮旋回を思わせるVT1と巣状興奮のVT2が誘発された.VT1(周期393ms)は左室側壁基部の低電位領域で拡張中期電位(MDP)が記録された.頻拍中のペーシングはMDPを捕捉してconcealed entrainmentの所見を呈した.同部への通電(30-45W)でVT1は直ちに停止した.VT2(周期402ms)の最早期興奮部位は左室側壁...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShinzo Vol. 48; no. SUPPL.2; pp. S2_210 - S2_216
Main Authors 廣木, 次郎, 藤原, 裕季, 中村, 則人, 西田, 耕太, 保坂, 幸男, 土田, 圭一, 小田, 弘隆, 酒井, 亮平, 高橋, 和義, 池主, 雅臣, 柏, 麻美, 木村, 新平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 30.12.2016
Japan Heart Foundation
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.48.S2_210

Cover

More Information
Summary:薬剤抵抗性の心室頻拍(VT)によるelectrical stormで再入院した心サルコイドーシス症例.カテーテルアブレーションは心内膜アプローチで行った.左室voltage mappingで前壁の広範囲と後壁の一部に低電位領域を同定した.プログラム電気刺激で興奮旋回を思わせるVT1と巣状興奮のVT2が誘発された.VT1(周期393ms)は左室側壁基部の低電位領域で拡張中期電位(MDP)が記録された.頻拍中のペーシングはMDPを捕捉してconcealed entrainmentの所見を呈した.同部への通電(30-45W)でVT1は直ちに停止した.VT2(周期402ms)の最早期興奮部位は左室側壁の低電位領域に同定された.頻拍中の局所ペーシングはmanifest fusionを呈し,同部位への通電(30-45W)は30秒の時間を要してVT2を停止させた.術後1年の経過でいずれのVTの再発も見られていない.心サルコイドーシスの病変は心外膜側から全層性に及ぶとされる.本例で心内膜側からの通電が有効であったのは,VT1の回路は心内膜心筋を含んでおり,VT2の回路は心内膜側に近い心筋層にあったためと思われる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.S2_210