CARTOマッピング所見の解釈に難渋した催不整脈性右室心筋症に伴う心室頻拍の1例

症例は71歳, 男性. 心電図にて心拍数毎分200, 左脚ブロック, 上方軸のwide QRS頻拍を認めた. 術前の心臓CTにて右室自由壁から後中隔にかけて瘤状の構造物を認めた. 心臓電気生理学的検査では右室からの2連発早期刺激にて頻拍誘発, 房室解離を認め心室頻拍と診断した. CARTOマッピングでは瘤状構造物に一致し低電位領域を認めた. 頻拍中は右室基部後中隔にQRSより26ms先行する最早期興奮部位 (site A) を認め, focal patternであった. 右室中間部自由壁下部の瘤状構造物内 (site B) からの頻拍中の連続刺激にてconcealed entrainmentを...

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Published inShinzo Vol. 41; no. SUPPL.4; pp. S4_133 - S4_141
Main Authors 井上, 義明, 足立, 正光, 三明, 淳一朗, 久留, 一郎, 小倉, 一能, 近藤, 健人, 矢野, 暁生, 加藤, 克, 飯塚, 和彦, 井川, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.41.S4_133

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Summary:症例は71歳, 男性. 心電図にて心拍数毎分200, 左脚ブロック, 上方軸のwide QRS頻拍を認めた. 術前の心臓CTにて右室自由壁から後中隔にかけて瘤状の構造物を認めた. 心臓電気生理学的検査では右室からの2連発早期刺激にて頻拍誘発, 房室解離を認め心室頻拍と診断した. CARTOマッピングでは瘤状構造物に一致し低電位領域を認めた. 頻拍中は右室基部後中隔にQRSより26ms先行する最早期興奮部位 (site A) を認め, focal patternであった. 右室中間部自由壁下部の瘤状構造物内 (site B) からの頻拍中の連続刺激にてconcealed entrainmentを認めsite Aはorthodromicに捕捉された. 頻拍中のsite Aからの通電にて頻拍は停止, 以後頻拍は誘発されなかった. 本頻拍はsite Bをentranceとしsite Aをexitとするmacro-reentry性心室頻拍と考えられたが, CARTOではfocal patternであった. VTマッピング中にmid-diastolic potentialが記録できなかったことより, reentry回路の遅伝導路が心外膜側に存在する可能性が考えられ, そのためCARTOではfocal patternを呈したと考えられた. 催不整脈性右室心筋症に伴う心室頻拍に対するCARTO studyを行うにあたり, 上記の可能性を考慮し解析を行うことが必要と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.S4_133