洞不全症候群により心停止に至った心アミロイドーシスの1例

陳旧性心筋梗塞の既往のある67歳男性.安静時前胸部痛を主訴に前医を受診した.心電図は心房細動であり,胸痛の精査目的に転院搬送となった.搬送中も心房細動であったが,突如意識消失,痙攣し,心電図モニター上心静止となり,心肺蘇生を開始した.1サイクル後の波形は心静止であり,2サイクル目に心拍再開した.その後は洞性徐脈で経過した.冠動脈造影では有意狭窄は認めず,冠攣縮も誘発されなかった.来院後も徐脈頻脈症候群を呈しており,洞不全症候群による心停止と考えられた.2か月後,心不全で再入院となり,心臓超音波で新たな心筋エコー輝度上昇(granular sparkling sign),心筋生検,脂肪生検にてア...

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Published inShinzo Vol. 49; no. SUPPL.1; pp. S1_185 - S1_188
Main Authors 時岡, 紗由理, 河村, 岩成, 古谷野, 康紀, 宮原, 大輔, 新井, 真理奈, 稲垣, 大, 宮部, 倫典, 吉田, 精孝, 宮澤, 聡, 中田, 晃裕, 永嶺, 翔, 増田, 新一郎, 北條, 林太郎, 青山, 祐也, 土山, 高明, 小宮山, 浩大, 深水, 誠二, 渋井, 敬志, 田中, 道雄, 西﨑, 光弘, 櫻田, 春水, 平岡, 昌和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 28.08.2017
Japan Heart Foundation
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Summary:陳旧性心筋梗塞の既往のある67歳男性.安静時前胸部痛を主訴に前医を受診した.心電図は心房細動であり,胸痛の精査目的に転院搬送となった.搬送中も心房細動であったが,突如意識消失,痙攣し,心電図モニター上心静止となり,心肺蘇生を開始した.1サイクル後の波形は心静止であり,2サイクル目に心拍再開した.その後は洞性徐脈で経過した.冠動脈造影では有意狭窄は認めず,冠攣縮も誘発されなかった.来院後も徐脈頻脈症候群を呈しており,洞不全症候群による心停止と考えられた.2か月後,心不全で再入院となり,心臓超音波で新たな心筋エコー輝度上昇(granular sparkling sign),心筋生検,脂肪生検にてアミロイドの沈着を認め,心アミロイドーシスと診断した.心アミロイドーシスは非特異的な症状を呈するため,診断に後れをきたすことが多いとされている.今回,洞不全症候群による心肺停止を契機に心アミロイドーシスと診断した1例を経験した.原因不明の心停止の原因として心アミロイドーシスなどの進行性心筋症も鑑別に挙げ,精査を行う必要がある.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.S1_185