定量NMRによる陰イオン界面活性剤総濃度の直接定量

日本では水道法により様々な成分が規制されることで水質の安全が確保されている.規制されている対象成分の一つである陰イオン界面活性剤における標準液は,アルキル基の鎖長が異なる5種類の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム同族体が含まれているが,それぞれの同族体も実際には多くの異性体混合物を含んでいる.実際の定量分析においては,これらを含む陰イオン界面活性剤の総量として測定されている.近年,分析値の信頼性の向上のために計量計測トレーサビリティが重要視されているが,様々な異性体混合物の総量を定量する際には,特定の標準物質を用いてトレーサビリティを確保することは難しい.本研究では異性体混合物である直鎖...

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Published inBunseki kagaku Vol. 67; no. 7; pp. 397 - 403
Main Authors 山﨑, 太一, 森井, 奈保子, 沼田, 雅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Tokyo 公益社団法人 日本分析化学会 05.07.2018
Japan Science and Technology Agency
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Summary:日本では水道法により様々な成分が規制されることで水質の安全が確保されている.規制されている対象成分の一つである陰イオン界面活性剤における標準液は,アルキル基の鎖長が異なる5種類の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム同族体が含まれているが,それぞれの同族体も実際には多くの異性体混合物を含んでいる.実際の定量分析においては,これらを含む陰イオン界面活性剤の総量として測定されている.近年,分析値の信頼性の向上のために計量計測トレーサビリティが重要視されているが,様々な異性体混合物の総量を定量する際には,特定の標準物質を用いてトレーサビリティを確保することは難しい.本研究では異性体混合物である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム標準液の濃度の定量分析法について検討し,様々な異性体混合物を含む市販標準液に対して定量NMR法(qNMR)を用いることで,各同族体を異性体の総量として0.5% 以下の不確かさでそれぞれ定量することができた.また,本法による測定値を濃度の保証値と比較することで,本法の妥当性を確認した.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.67.397