S7-3.発達障害と腸内細菌叢との関連

「I. 腸内細菌叢の役割と定着プロセス」人の腸内には500種類もの細菌が常在菌として群を形成しており, その数は10 11~10 12 cells/g fecesと考えられ, 人体に存在する細胞数のおよそ10倍もの数が生息していると考えられている(Guarner and Malagelada, 2003). 腸内細菌叢は, 宿主にとって重要な役割を担っており, 主に代謝機能や防御機能を有している. すなわち, 非消化性の食物残渣の発酵, 炭水化物の短鎖脂肪酸への分解によるエネルギーの産生や吸収, ビタミンKの産生, 鉄吸収などの代謝機能, また, 病原菌からの防御や腸内菌群と消化管免疫の相互作...

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Published in児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 58; no. 1; pp. 26 - 30
Main Author 三上, 克央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本児童青年精神医学会 2017
日本児童青年精神医学会
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ISSN0289-0968
2424-1652
DOI10.20615/jscap.58.1_26

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Summary:「I. 腸内細菌叢の役割と定着プロセス」人の腸内には500種類もの細菌が常在菌として群を形成しており, その数は10 11~10 12 cells/g fecesと考えられ, 人体に存在する細胞数のおよそ10倍もの数が生息していると考えられている(Guarner and Malagelada, 2003). 腸内細菌叢は, 宿主にとって重要な役割を担っており, 主に代謝機能や防御機能を有している. すなわち, 非消化性の食物残渣の発酵, 炭水化物の短鎖脂肪酸への分解によるエネルギーの産生や吸収, ビタミンKの産生, 鉄吸収などの代謝機能, また, 病原菌からの防御や腸内菌群と消化管免疫の相互作用などの生体防御機能など生体にとって極めて重要な役割を担っている(Guarner and Malagelada, 2003). このような重要な機能を有する腸内細菌叢の形成は出生直後から始まり, 生後2, 3日から1週間で, その人のその後の腸内細菌叢の原形が形成される(Mackie et al., 1999).
ISSN:0289-0968
2424-1652
DOI:10.20615/jscap.58.1_26