肝硬変に対し自家脱分化脂肪細胞を投与した犬の 1 例

アメリカン・コッカー・スパニエル , 雄 ,8 歳が , 肝酵素値の上昇と腹水の精査を目 的に来院した 。 CT 血管造影検査と腹腔鏡検査を実施し , 門脈圧亢進症を伴う肝硬変と診断 した 。 プレドニゾロンとスピロノラクトンを中心とした内科療法により , 症例の腹水は一 時的に改善した 。 しかし , 肝機能の低下と門脈血栓症の併発により腹水のコントロールが 困難となった 。 そのため , 腹腔鏡検査の際に採取した腹腔内脂肪組織から作製し保存して いた自家の脱分化脂肪細胞 (DFAT) を用いた細胞療法を試みた 。 自家 DFAT(1 × 106 個 /kg) は橈側皮静脈を経由に投与 (...

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Published in動物臨床医学 Vol. 32; no. 2; pp. 55 - 59
Main Authors 塩澤, 仁, 阪本, 裕美, 入江, 雄亮, 袴田, 将大, 萩原, 玲子, 沖, 嘉尚, 加野, 浩一郎, 中山, 智宏, 坂井, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 動物臨床医学会 25.06.2023
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Summary:アメリカン・コッカー・スパニエル , 雄 ,8 歳が , 肝酵素値の上昇と腹水の精査を目 的に来院した 。 CT 血管造影検査と腹腔鏡検査を実施し , 門脈圧亢進症を伴う肝硬変と診断 した 。 プレドニゾロンとスピロノラクトンを中心とした内科療法により , 症例の腹水は一 時的に改善した 。 しかし , 肝機能の低下と門脈血栓症の併発により腹水のコントロールが 困難となった 。 そのため , 腹腔鏡検査の際に採取した腹腔内脂肪組織から作製し保存して いた自家の脱分化脂肪細胞 (DFAT) を用いた細胞療法を試みた 。 自家 DFAT(1 × 106 個 /kg) は橈側皮静脈を経由に投与 ( 合計 6 回 ) したが , 有害事象は認められず腹水の軽減 など症例の生活の質 (QOL) を維持することができた 。 したがって , 自家 DFAT 細胞療法 は非代償性肝硬変の犬において安全な細胞療法と考えられた 。
ISSN:1344-6991
1881-1574
DOI:10.11252/dobutsurinshoigaku.32.55