光による内シャント透視イメージングに関する基礎的検討2~シャント血管の走行方向が計測に及ぼす影響

人工透析治療では自己血管内シャントが必要であるが,治療に伴う負荷が血管の狭窄や閉塞を助長することから,日常の適切な管理が重要である.しかし現状の管理手法は,主観性や侵襲の面で問題がある.これに対し我々は,近赤外光による定量的かつ非侵襲的な管理手法の開発を進めている.この手法では,前腕長軸に沿って両側面から線状の近赤外光を入射し,前腕内部を拡散した後に出射した光を前腕上部のカメラで受光し血管透視を行う.これまでの検討では,血管に様々な狭窄が発生した場合を想定した試料で実験を行い,提案手法が局所的な血管内径変化の検出に有用であることを示してきた.これらの検討では,血管走行は前腕長軸方向と一致するこ...

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Published in生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 279
Main Authors 神山, 英昇, 北間, 正崇, 清水, 久恵, 山下, 政司, 小島, 洋一郎, 菊池, 明泰, 奥山, 豪, 清水, 孝一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2020
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Summary:人工透析治療では自己血管内シャントが必要であるが,治療に伴う負荷が血管の狭窄や閉塞を助長することから,日常の適切な管理が重要である.しかし現状の管理手法は,主観性や侵襲の面で問題がある.これに対し我々は,近赤外光による定量的かつ非侵襲的な管理手法の開発を進めている.この手法では,前腕長軸に沿って両側面から線状の近赤外光を入射し,前腕内部を拡散した後に出射した光を前腕上部のカメラで受光し血管透視を行う.これまでの検討では,血管に様々な狭窄が発生した場合を想定した試料で実験を行い,提案手法が局所的な血管内径変化の検出に有用であることを示してきた.これらの検討では,血管走行は前腕長軸方向と一致することを前提としていた.しかし実際のヒト前腕部では,これらの方向は必ずしも一致しない.そこで本研究では,成人前腕部を模擬するファントム試料において,前腕長軸から一定角度を成すシャント血管を模擬し,近赤外光の透視実験を行った.その結果,前腕長軸からのシャント血管角度が増加するに伴い,血管内径の計測誤差が増大することが明らかになった.ただし実用条件内では,誤差が0.4 mm以内の精度で血管内径の計測が可能であった.この結果により,提案手法の臨床応用における実用性の高さが示唆されたものと考える.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual58.279