大規模災害に備えた薬局の医薬品等備蓄の現況と課題—北海道全域を対象としたインターネットアンケート調査に基づいて

大規模災害時の医薬品提供能力の低下は,被災者等への薬物治療を滞らせ,患者の生命を左右する.北海道では日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震が想定され,平時から大規模災害に備えた医薬品等備蓄を行う必要性がある.しかし,医薬品等提供の要となる薬局の現況は不明である.そのため,北海道全域の薬局管理者等を対象に,大規模災害に備えた医薬品等備蓄の意識,事業継続計画(BCP)の準備,負担感に関する調査を行った.その結果,医薬品等備蓄の必要性があるとする回答は36.1%,BCPがあるとする回答は26.8%にとどまり,対策を急ぐ必要性が明らかとなった.また,医薬品等備蓄の意識やBCPの準備の割合は,小規模な薬局や経...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in薬局薬学 Vol. 16; no. 1; pp. 29 - 40
Main Authors 小山内, 康徳, 山田, 武志, 光岡, 俊成, 大森, 嵩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本薬局学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1884-3077
2434-3242
DOI10.32160/yakkyoku.nt.2023-0024

Cover

More Information
Summary:大規模災害時の医薬品提供能力の低下は,被災者等への薬物治療を滞らせ,患者の生命を左右する.北海道では日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震が想定され,平時から大規模災害に備えた医薬品等備蓄を行う必要性がある.しかし,医薬品等提供の要となる薬局の現況は不明である.そのため,北海道全域の薬局管理者等を対象に,大規模災害に備えた医薬品等備蓄の意識,事業継続計画(BCP)の準備,負担感に関する調査を行った.その結果,医薬品等備蓄の必要性があるとする回答は36.1%,BCPがあるとする回答は26.8%にとどまり,対策を急ぐ必要性が明らかとなった.また,医薬品等備蓄の意識やBCPの準備の割合は,小規模な薬局や経営規模の小さい薬局では低く,地域の薬局間連携の必要性を啓発し体制を整備する必要性があること,薬局管理者等の負担感は災害医療経験に関係するため,災害医療対応の研修・教育の必要性があることが示唆された.
ISSN:1884-3077
2434-3242
DOI:10.32160/yakkyoku.nt.2023-0024