大学病院看護師における情緒的消耗感に関連する因子の検討 母性愛信奉と性別役割分業の検討

「緒言」近年, 日本は急速な高齢化社会に直面しており, 医療の質を保つために, 看護師育成と安定した供給が必要である. とくに育成面においては, 看護師の教育水準を向上させ専門性を身に付けるために, 新卒看護師の離職率はできるだけ低く抑えることが重要である. 厚生労働省の看護職員就業状況等実態調査によると, 離職理由でもっとも多いのは妊娠・出産・結婚などライフイベントであるとされている. 子供の有無は有意に離職に結び付くことから, これまで日本看護協会が主導となり働きながら仕事ができるワークライフバランスの推進や適正な人員配置, 柔軟な労働環境の整備など多くの取り組みが行われてきた. 看護師の...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 73; no. 1; pp. 90 - 95
Main Authors 田辺, 杏由美, 村上, 文, 平池, 春子, 高井, 怜, 土谷, 明子, 野村, 恭子, 冲永, 寛子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2018
日本衛生学会
Subjects
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.73.90

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Summary:「緒言」近年, 日本は急速な高齢化社会に直面しており, 医療の質を保つために, 看護師育成と安定した供給が必要である. とくに育成面においては, 看護師の教育水準を向上させ専門性を身に付けるために, 新卒看護師の離職率はできるだけ低く抑えることが重要である. 厚生労働省の看護職員就業状況等実態調査によると, 離職理由でもっとも多いのは妊娠・出産・結婚などライフイベントであるとされている. 子供の有無は有意に離職に結び付くことから, これまで日本看護協会が主導となり働きながら仕事ができるワークライフバランスの推進や適正な人員配置, 柔軟な労働環境の整備など多くの取り組みが行われてきた. 看護師の離職防止のためにも「仕事と家庭の両立」が大切とされる一方で, 先進国の中でも日本は「男は仕事, 女性は家庭」の性別役割分業意識が未だ強い社会規範を持ち, 実際には子供を持つ勤労女性の家事・育児・仕事の過重負担は男性に比して大きいと指摘されている.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.73.90