認知症予防を目指した電子楽器サイミス活用の準備的研究

【目的】筆者らは文献レビューを実施し認知正常者、軽度認知障害、認知症患者において、楽器演奏が認知症予防に効果があることを示し、本学会において報告した。またアクセシブル電子楽器サイミスを開発し、健常高齢者が「故郷」などの簡単な曲を合奏できることを報告した。本研究では、中重度認知症患者を対象にして、スイッチおよびタッチパネルをユーザインタフェースとして、サイミス演奏ができるか否か、そして楽器演奏のために重要な認知機能を明らかにすると共に演奏時の感情を把握することを目的とした。また健常人を対象にしてエアバッグの利用の演奏可能性を明らかにする。【方法】認知症患者30名(平均年齢91.1歳±3.9、MS...

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Published in生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 133
Main Authors 近藤, 瑛佑, 竹原, 直美, 田部井, 賢一, 一ノ瀬, 智子, 前田, 義信, 奥野, 竜平」, 赤澤, 堅造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2020
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual58.133

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Summary:【目的】筆者らは文献レビューを実施し認知正常者、軽度認知障害、認知症患者において、楽器演奏が認知症予防に効果があることを示し、本学会において報告した。またアクセシブル電子楽器サイミスを開発し、健常高齢者が「故郷」などの簡単な曲を合奏できることを報告した。本研究では、中重度認知症患者を対象にして、スイッチおよびタッチパネルをユーザインタフェースとして、サイミス演奏ができるか否か、そして楽器演奏のために重要な認知機能を明らかにすると共に演奏時の感情を把握することを目的とした。また健常人を対象にしてエアバッグの利用の演奏可能性を明らかにする。【方法】認知症患者30名(平均年齢91.1歳±3.9、MSE14.1±5.0)を対象とした。タッチパネルまたはスイッチを使って、童謡を演奏した。神経心理検査としてMMSE、立方体・ネッカー立方体模写、FAB、NPIを、そして口頭でのインタビューを実施した。【結果】演奏不可能群Nと演奏可能群がいることが判明した。楽器演奏には視空間認知が保たれていることが重要であることが示唆された。N群は「楽しさ」を示しており、認知症予防として段階的に個人演奏の介人へと移行することができるか、今後の臨床研究で明らかにする必要がある。加えた力にエアバッグの圧が概ね比例することを確認した。演奏プログラムを開発し、エアバッグを利用して比較的容易に簡単な曲の演奏が可能であることを確認した。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual58.133