外耳道内の温度差を用いた双熱流法に基づく深部体温算出の校正方法の提案

サーミスタを用いて計測した外耳道内温は実用的な深部体温の指標としての可能性が秘められている.というのも,非侵襲的かつ安全な計測法であり,外気温からの影響も校正できる.校正法は,加熱せずに2つ以上の体表面とプローブ周辺の温度差を用いた双熱流法が挙げられている.本研究では,双熱流法を基に外耳道内温から深部体温を算出する校正式を理論的に明らかにした上,サーミスタを組み込んだ試作イヤホンを用いて校正式の妥当性を実験的に検証し,システムの有用性について検討を行った.校正式は,外耳道表面温と耳周辺温に表面温と空間温の差を加減算し,耳周辺温によって外耳道の表面温と空間温が逆転される特徴が反映されている.3つ...

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Published in生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 421
Main Authors 石崎, 昭太, 李, 知炯, 池尻, 晃基, 古賀, 穂香, 木原, 広夢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2020
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual58.421

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Summary:サーミスタを用いて計測した外耳道内温は実用的な深部体温の指標としての可能性が秘められている.というのも,非侵襲的かつ安全な計測法であり,外気温からの影響も校正できる.校正法は,加熱せずに2つ以上の体表面とプローブ周辺の温度差を用いた双熱流法が挙げられている.本研究では,双熱流法を基に外耳道内温から深部体温を算出する校正式を理論的に明らかにした上,サーミスタを組み込んだ試作イヤホンを用いて校正式の妥当性を実験的に検証し,システムの有用性について検討を行った.校正式は,外耳道表面温と耳周辺温に表面温と空間温の差を加減算し,耳周辺温によって外耳道の表面温と空間温が逆転される特徴が反映されている.3つの超薄膜サーミスタ(JT104, SEMITEC)をイヤホンに組み込んだプローブの試作,円筒形黒体炉を用いて外耳道内環境の構築を行い,18~38 ℃の環境温を5 ℃ずつ変化させ実験を行った.また,18・28・38 ℃の環境温下で10人の被験者に対し,体温計測実験を行った.その結果,算出した黒体温と計測した黒体温の差は-0.003 ± 0.035 ℃と小さかった.黒体炉の空間温が表面温より18 ℃では1.035 ℃低く,38 ℃で0.062 ℃高くなる逆転現象も確認された.さらに,人に対する実験でも算出した深部体温は鼓膜温との差が小さく,黒体炉実験と同じ傾向が確認された.これらの結果から,校正式を用いて外耳道温から深部体温の算出が可能であると考えられる.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual58.421