反復する失神を主訴とし,下側壁誘導にJ波を認め,冠攣縮誘発に伴い心室細動が惹起され,除細動直後に右側胸部誘導でcoved型ST上昇が顕在化した1例

症例は65歳男性.突然死の家族歴はない.201X年1月に失神をきたした.同年7月X日早朝に3度の意識消失失神(15分程度)をきたし近医に救急搬送された.到着時,モニター心電図でST上昇および完全房室ブロックを認めた.冠動脈造影(エルゴノビン負荷試験)で右冠動脈に攣縮が誘発されたため,失神は冠攣縮によるものと判断された.Ca拮抗薬と硝酸薬を処方されたが,退院して再度失神したため当科を紹介され入院した.12誘導心電図で下側壁誘導にslur typeのJ波を認めた.EPSでVFは誘発されなかった.ピルジカイニド負荷でBrugada型変化は生じなかった.冠拡張剤内服下で冠攣縮誘発試験を行ったところ,右...

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Published inShinzo Vol. 48; no. SUPPL.2; p. S2_209
Main Authors 油布, 邦夫, 小深田, 麻美, 石井, 悠海, 髙橋, 尚彦, 長野, 徳子, 篠原, 徹二, 髙野, 正幸, 手嶋, 泰之, 大坪, 豊和, 原口, 美帆, 秋岡, 秀文, 中川, 幹子, 近藤, 秀和, 今村, 貴亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 30.12.2016
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.48.S2_209

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Summary:症例は65歳男性.突然死の家族歴はない.201X年1月に失神をきたした.同年7月X日早朝に3度の意識消失失神(15分程度)をきたし近医に救急搬送された.到着時,モニター心電図でST上昇および完全房室ブロックを認めた.冠動脈造影(エルゴノビン負荷試験)で右冠動脈に攣縮が誘発されたため,失神は冠攣縮によるものと判断された.Ca拮抗薬と硝酸薬を処方されたが,退院して再度失神したため当科を紹介され入院した.12誘導心電図で下側壁誘導にslur typeのJ波を認めた.EPSでVFは誘発されなかった.ピルジカイニド負荷でBrugada型変化は生じなかった.冠拡張剤内服下で冠攣縮誘発試験を行ったところ,右冠動脈に冠攣縮が誘発され下壁誘導にST上昇が惹起され,V1誘導でJ点が上昇し心室細動を生じた.除細動直後,右側胸部誘導(V1,V2)でcoved型ST上昇が顕在化した.心室細動発症にJ波(早期再分極所見)が関与したと考えられる興味深い症例であり報告する.ICDの適応についても言及したい.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.S2_209