近赤外光を用いた簡易光学式透析液排液成分モニタシステムの開発
我が国の慢性透析患者総数は33万人を超えており,透析技術の進歩により長期生存率は向上しているが,透析治療は「週3回,約4時間/回」と患者に大きな負担がある.そこで負担軽減のため患者個人に応じた適正透析が求められている.また,透析の効果は透析前後の血液検査(血中尿素窒素から算出される尿素除去率URRや標準化透析量Kt/V)に基づいており,透析終了時まで透析の効果を評価できず,一回の透析に必要な効果を得たにも関わらず透析を続けている場合がある.そこで透析の正確な終了時間を把握するため,透析液排液中の成分モニタリングにより透析の効果を随時評価可能なシステムの開発が望まれる.今回は,当該システム開発に...
Saved in:
Published in | 生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 430 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2020
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual58.430 |
Cover
Summary: | 我が国の慢性透析患者総数は33万人を超えており,透析技術の進歩により長期生存率は向上しているが,透析治療は「週3回,約4時間/回」と患者に大きな負担がある.そこで負担軽減のため患者個人に応じた適正透析が求められている.また,透析の効果は透析前後の血液検査(血中尿素窒素から算出される尿素除去率URRや標準化透析量Kt/V)に基づいており,透析終了時まで透析の効果を評価できず,一回の透析に必要な効果を得たにも関わらず透析を続けている場合がある.そこで透析の正確な終了時間を把握するため,透析液排液中の成分モニタリングにより透析の効果を随時評価可能なシステムの開発が望まれる.今回は,当該システム開発における基礎的検討としてFT-IR型分光器を用いた透析液排液中成分(尿素,尿酸,クレアチニン)の単一水溶液濃度予測実験を行った.また,最終的にLED光源を用いた計測システムの開発を目指し,分光器を用いて得たデータの中から市販で入手可能な近赤外LED:10波長の差分吸光度データを使用した総当たり解析により,先述の3成分の濃度予測のための至適波長及びその組み合わせの選定を試みた.その予測精度は,実測濃度と予測濃度の標準予測誤差(SEP, Standard Error of Prediction)及び相関係数γを基に評価した.結果として,3成分における予測濃度は実測濃度と高い相関を示し,近赤外光を用いた透析液排液成分の濃度予測可能性が確認された. |
---|---|
ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual58.430 |