スギ花粉症におけるプロビオン酸フルチカゾン点鼻による初期治療の効果

大量飛散年となった1995年において, スギ花粉症患者25名に対し, 塩酸アゼラスチン使用下でプロピオン酸フルチカゾン (以下FP) 点鼻の初期治療を行い, FP点鼻の初期治療の有効性を検討した. 方法は, 自覚症状, 他覚所見及び免疫染色を用いた観察による. 結果は, FP点鼻の初期治療を行うと自他覚所見のほぼすべての項目で症状が抑制されていた. 免疫染色ではmast cell tryptase陽性細胞, EG2陽性細胞は浸潤が抑制されなかったが, CD68陽性細胞は浸潤が有意に抑制されていた. 従って, FP点鼻の初期治療を行うことにより, すべての炎症細胞の浸潤を抑制するには至らなかった...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 99; no. 9; pp. 1162 - 1171,1233
Main Authors 中林, 成一郎, 鈴木, 直弘, 中塚, 滋, 池田, 勝久, 高坂, 知節, 稲村, 直樹
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.09.1996
日本耳鼻咽喉科学会
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Summary:大量飛散年となった1995年において, スギ花粉症患者25名に対し, 塩酸アゼラスチン使用下でプロピオン酸フルチカゾン (以下FP) 点鼻の初期治療を行い, FP点鼻の初期治療の有効性を検討した. 方法は, 自覚症状, 他覚所見及び免疫染色を用いた観察による. 結果は, FP点鼻の初期治療を行うと自他覚所見のほぼすべての項目で症状が抑制されていた. 免疫染色ではmast cell tryptase陽性細胞, EG2陽性細胞は浸潤が抑制されなかったが, CD68陽性細胞は浸潤が有意に抑制されていた. 従って, FP点鼻の初期治療を行うことにより, すべての炎症細胞の浸潤を抑制するには至らなかったが, 大量飛散年においても良好な治療成績を得られることが判明した.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.99.1162