Radiomics特徴量に基づく肺定位放射線治療の予後予測
近年,患者の遺伝情報や生体情報に基づいて患者個々に適切な治療を行う個別化医療が注目されている.その一方で,個別化医療の実現に向けた膨大な数の遺伝・生体情報で構成されるデータベースを基にしたデータマイニングの研究が隆盛を極めている.医用画像もまた人体の解剖学的構造や病変の有無を写し出す絵だけではなく,患者個々の形質を特徴づけるマイニング可能なデータであると考えられており,そのデータを定量的に解析するRadiomicsが脚光を浴びている.Radiomicsとは,放射線医学の“Radiology”に生物学分野におけるデータを統合し網羅的に解析する研究領域を意味する“-omics”を加えた学術分野であ...
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Published in | 生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 120 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2020
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual58.120 |
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Summary: | 近年,患者の遺伝情報や生体情報に基づいて患者個々に適切な治療を行う個別化医療が注目されている.その一方で,個別化医療の実現に向けた膨大な数の遺伝・生体情報で構成されるデータベースを基にしたデータマイニングの研究が隆盛を極めている.医用画像もまた人体の解剖学的構造や病変の有無を写し出す絵だけではなく,患者個々の形質を特徴づけるマイニング可能なデータであると考えられており,そのデータを定量的に解析するRadiomicsが脚光を浴びている.Radiomicsとは,放射線医学の“Radiology”に生物学分野におけるデータを統合し網羅的に解析する研究領域を意味する“-omics”を加えた学術分野である.Radiomicsでは,腫瘍などの関心領域から肉眼的に確認できない高次元の定量的画像情報(腫瘍球面性や画像ざらつき,画素統計量など)であるRadiomics特徴量を抽出し,それらと臨床データや病理組織学的データ,分子生物学的データなどを相関させて,腫瘍の組織型や悪性度といった表現型あるいは腫瘍の表現型に依存する患者の予後や治療効果に注目した研究が進められている.本研究の目的は, CT画像から得られるRadiomics特徴量に基づいて肺定位放射線治療の予後を予測することである.臨床情報やRadiomics特徴量を複合的に扱うことで,高精度かつ低侵襲に予後を予測できれば,早期肺癌に対する治療戦略を変更でき,個別化医療の実現につながると期待している. |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual58.120 |