医療・福祉施設における体調管理支援のためのベッドにおける無負担型体温計測システムの基礎的検討

医療・介護施設では,体調悪化による発熱や発汗障害や血流障害などによる体温調整障害もあり,日々の体温管理が不可欠である.しかし現状の市販体温計では継続的な計測を行うことが困難であり,発熱に早期に気づき,適切なタイミングでケアを行うことが困難である.本研究ではこれまでベッドでの無負担型脈拍・呼吸計測システムを開発し,脊髄損傷・心不全患者の体調管理への有効性を報告してきた.今回,これに体温計測機能を融合すべく,抵抗検知型圧力センサ,サーミスタ,断熱材が一体となった薄型センサをベッドマットレスに敷き,体温を推定する方法を検討した.本法では,まず圧力センサから被験者がサーミスタに接触しているか判断し,接...

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Published in生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 419
Main Authors 菅沼, 美季, 本井, 幸介, 内田, 全城, 久我, 佑輔, 江原, 喜人, 坂井, 宏旭, 山越, 憲一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2020
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Summary:医療・介護施設では,体調悪化による発熱や発汗障害や血流障害などによる体温調整障害もあり,日々の体温管理が不可欠である.しかし現状の市販体温計では継続的な計測を行うことが困難であり,発熱に早期に気づき,適切なタイミングでケアを行うことが困難である.本研究ではこれまでベッドでの無負担型脈拍・呼吸計測システムを開発し,脊髄損傷・心不全患者の体調管理への有効性を報告してきた.今回,これに体温計測機能を融合すべく,抵抗検知型圧力センサ,サーミスタ,断熱材が一体となった薄型センサをベッドマットレスに敷き,体温を推定する方法を検討した.本法では,まず圧力センサから被験者がサーミスタに接触しているか判断し,接触開始30秒間のサーミスタから得られた温度上昇の速度から被験者の体温を予測する.また,体位変化などによりセンサと身体が離れた際には,再度接触後に同様の体温推定を行う.今回,左肩甲骨直下,鳩尾直下,腰部直下にそれぞれ本センサを設置し,同時に市販体温計から計測した体温を記録し,体温の推定精度を評価した.健常成人2名(22歳男女)における仰臥位・安静状態10分間の計測結果から,本システムと市販体温計の温度差は0.4 ℃以内となった.また介護施設における高齢者での検証も併せて進めているが同程度の精度が得られつつあり,詳細な評価にはさらなる精度向上が必要なものの,発熱などの早期検知には有用と考えられる.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual58.419