高圧環境下での音声によるストレス評価手法の検討

飽和潜水は大深度潜水での潜水効率向上のため、目的深度とほぼ同様の圧力の高圧居室を準備して行う潜水である。加減圧は十数日かけて行い、潜水士の体内では呼吸源である不活性ヘリウムガスが飽和状態となる。この間、外部からのアクセスが困難なため遠隔での体調管理が必要となる。我々は音声からストレス状態の変化を推定する研究を進めてきた。音声を用いた分析は,非侵襲でリモートに行える利点がある。本研究では、海上自衛隊の協力を得て飽和潜水訓練中の音声を取得し、我々の音声評価手法の高圧力下およびヘリウム吸引による影響を調査した。比較のため、一般被験者に対して1気圧下でのヘリウム吸引前後の音声も取得し分析を行った。自衛...

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Published in生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 231
Main Authors 樋口, 政和, 中村, 光晃, 大宮, 康宏, 徳野, 慎一, 光吉, 俊二, 篠原, 修二, 高野, 毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2020
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual58.231

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Summary:飽和潜水は大深度潜水での潜水効率向上のため、目的深度とほぼ同様の圧力の高圧居室を準備して行う潜水である。加減圧は十数日かけて行い、潜水士の体内では呼吸源である不活性ヘリウムガスが飽和状態となる。この間、外部からのアクセスが困難なため遠隔での体調管理が必要となる。我々は音声からストレス状態の変化を推定する研究を進めてきた。音声を用いた分析は,非侵襲でリモートに行える利点がある。本研究では、海上自衛隊の協力を得て飽和潜水訓練中の音声を取得し、我々の音声評価手法の高圧力下およびヘリウム吸引による影響を調査した。比較のため、一般被験者に対して1気圧下でのヘリウム吸引前後の音声も取得し分析を行った。自衛隊員の音声録音は訓練前後と訓練中に行い、訓練前後は1気圧下の通常音声、訓練中は加圧・減圧のタイミングでヘリウム音声を取得した。音声は定型句の読み上げ音声を用いた。訓練環境は雑音が多かったため、雑音を除去し分析を行った。その結果、訓練中は通常時よりも音声評価値が低い傾向であった。一般被験者に対してもヘリウム吸引後は同様な傾向を示したため、訓練中の音声評価値の減少はヘリウムによる可能性が示唆された。また、訓練中の深度差による変化も若干確認できたが、圧力差によるものなのか、精神状態の変化によるものなのか判断できず今後の課題である。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual58.231