身体加速度ビッグデータに基づく日本人の睡眠問題に関する疫学研究-加齢効果
最近,我々は,約8万人の24時間体幹加速度データベースを用いて,日本人の加齢や性差,生気象学的影響に関する睡眠疫学的知見を報告した.本研究では,不眠症などの睡眠問題と関わる睡眠指標の異常値を有する人口割合,特にその加齢変化についての分析を行った.先行研究において,中高年(40-50代)における有意な平均総睡眠時間の低下を報告したが,さらに総睡眠時間分布の加齢変化を検討したところ,総睡眠時間が9時間以上である人口割合の有意な減少(40代:14.5%,50代:13.8%)と5~7時間睡眠の人口割合の有意な増加(40代:43.7%,50代:45.0%)が,総睡眠時間の減少に関与していることを確認した...
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Published in | 生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 320 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2020
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual58.320 |
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Summary: | 最近,我々は,約8万人の24時間体幹加速度データベースを用いて,日本人の加齢や性差,生気象学的影響に関する睡眠疫学的知見を報告した.本研究では,不眠症などの睡眠問題と関わる睡眠指標の異常値を有する人口割合,特にその加齢変化についての分析を行った.先行研究において,中高年(40-50代)における有意な平均総睡眠時間の低下を報告したが,さらに総睡眠時間分布の加齢変化を検討したところ,総睡眠時間が9時間以上である人口割合の有意な減少(40代:14.5%,50代:13.8%)と5~7時間睡眠の人口割合の有意な増加(40代:43.7%,50代:45.0%)が,総睡眠時間の減少に関与していることを確認した.一方,睡眠の質変化について,不眠症に関連する夜間の覚醒問題(中途覚醒時間>30分を基準とした)を有する人口の年代別割合を検討したところ,30歳未満では,基準を満たす割合が年代によらず約3割程度であるなか,40代以上では,約5%の割合で年代の上昇に伴い増加し,80代では,約半数(53.8%)に夜間覚醒問題が生じている可能性を示唆する知見を得た.さらに,入眠困難や睡眠効率の低下等の様々な不眠症状を考慮した場合,50代において全ての基準を満たす割合が最も多い(5.8%)ことを確認した.本研究で,睡眠問題の保有者数の年齢依存性に関する知見を得た. |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual58.320 |