高速液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析法によるヒト母乳中のフタル酸モノエステル類の分析

フタル酸モノエステル類(PMEs)には,精巣毒性を有するものがあり,当毒性に感受性の高い胎児及び乳幼児への暴露が懸念されている.しかし,母乳中のPMEsに関する報告は少ない.そこで,高速液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析器を用いて母乳中のPMEs{フタル酸モノエチル,フタル酸モノブチル,フタル酸モノベンジル,フタル酸モノ(2-エチルヘキシル),フタル酸モノ(2-エチル-5-ヒドロキシヘキシル) 及びフタル酸イソノニル}の分析法を構築した.試料に内部標準を添加後,酢酸エチル/シクロヘキサン混液で抽出し,得られた有機相を乾固した.酢酸アンモニウム緩衝液に再溶解後,脱抱合反応を施し,固相抽出...

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Published in分析化学 Vol. 56; no. 12; pp. 1025 - 1031
Main Authors 阿久津, 和彦, 中澤, 裕之, 高取, 聡, 近藤, 文雄, 和泉, 俊一郎, 牧野, 恒久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2007
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.56.1025

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Summary:フタル酸モノエステル類(PMEs)には,精巣毒性を有するものがあり,当毒性に感受性の高い胎児及び乳幼児への暴露が懸念されている.しかし,母乳中のPMEsに関する報告は少ない.そこで,高速液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析器を用いて母乳中のPMEs{フタル酸モノエチル,フタル酸モノブチル,フタル酸モノベンジル,フタル酸モノ(2-エチルヘキシル),フタル酸モノ(2-エチル-5-ヒドロキシヘキシル) 及びフタル酸イソノニル}の分析法を構築した.試料に内部標準を添加後,酢酸エチル/シクロヘキサン混液で抽出し,得られた有機相を乾固した.酢酸アンモニウム緩衝液に再溶解後,脱抱合反応を施し,固相抽出法により精製して試験液とした.PMEs(5.0 ng/mL添加)の回収率は,96.3∼103% であった.本分析法を活用し,日本人の母乳について11検体を分析した結果,フタル酸モノ(2-エチル-5-ヒドロキシヘキシル) を除く5種類のPMEs を検出した.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.56.1025