統合失調型と視聴覚運動情報の統合の関係 ディスコネクション仮説に基づいた検討

「問題」 統合失調型とは, 統合失調症の前駆段階を示すパーソナリティであると考えられている(Cyhlarova & Claridge, 2005). 統合失調型を測定する質問紙が開発されており, Schizotypy Traits Quesionnaire(STA;Clandge & Broks, 1984)はその1つである. STAは「はい―いいえ」で回答する37項目から成る自己報告型の質問紙で, DSM-IIIの統合失調型人格障害の基準に準拠している. 統合失調症を説明する理論の1つに, ディスコネクション仮説がある(Friston, 1999). この理論によれば, 統合...

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Published inパーソナリティ研究 Vol. 15; no. 1; pp. 64 - 66
Main Authors 丹野, 義彦, 浅井, 智久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本パーソナリティ心理学会 2006
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ISSN1348-8406
1349-6174
DOI10.2132/personality.15.64

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Summary:「問題」 統合失調型とは, 統合失調症の前駆段階を示すパーソナリティであると考えられている(Cyhlarova & Claridge, 2005). 統合失調型を測定する質問紙が開発されており, Schizotypy Traits Quesionnaire(STA;Clandge & Broks, 1984)はその1つである. STAは「はい―いいえ」で回答する37項目から成る自己報告型の質問紙で, DSM-IIIの統合失調型人格障害の基準に準拠している. 統合失調症を説明する理論の1つに, ディスコネクション仮説がある(Friston, 1999). この理論によれば, 統合失調症の症状は, 脳における機能間の情報の統合がうまくいかないために生じるとしている. 統合失調型が統合失調症の前駆段階であるなら, 統合失調型においても, 機能間の情報の統合が, 健常者とは異なる傾向を示す可能性がある. 本研究では, 統合失調型におけるディスコネクション仮説を検討するために, 「動的な腹話術効果」と呼ばれる現象を扱った. 「動的な腹話術効果」とは, マルチモーダルな現象であり, 視覚と聴覚の情報が統合される様子を検討することができる. 視覚と聴覚に同時に運動刺激を呈示すると, それらの空間的な軌道が異なっていたとしても, 聴覚刺激が視覚刺激と同じように動いたと知覚されることがある(Soto-Faraco, Lyons, Gazzaniga, Spence, & Kingstone, 2002).
ISSN:1348-8406
1349-6174
DOI:10.2132/personality.15.64