腹部大動脈瘤の下大静脈穿破に急性冠症候群と急性腎不全を合併し, PCI中に心肺停止となった1例

症例は55歳男性. 高血圧で紹介医へ通院中. 20XX年X月X−1日, 気分不良を自覚し, 紹介医を受診した. 心電図にて特記所見なく, 帰宅となった. 翌X日, 紹介医の定期通院日のため再受診. 心電図にてV3-V6誘導に新規に0.3mVの下向型ST低下を認め, 急性冠症候群 (ACS) 疑いで当科紹介となった. ACSと診断し, 右橈骨動脈からの経皮的冠動脈形成術 (PCI) へ移行した. 左前下行枝に高度狭窄を認め同部位に対してPCIを施行したものの心電図変化の改善は得られなかった. カテ中に, X−1日の紹介医では正常だった血清クレアチニン値が, 当院来院時の採血で5.28mg/dLと...

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Published in心臓 Vol. 48; no. SUPPL.1; pp. S1_34 - S1_39
Main Authors 水野, 智文, 旦, 一宏, 中濱, 一, 石井, 晶子, 岡, 明宏, 清山, 浩介, 小倉, 聡一郎, 藤原, 敬士, 藤田, 慎平, 川田, 哲史, 寺西, 仁, 末丸, 俊二, 寺坂, 律子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2016
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Summary:症例は55歳男性. 高血圧で紹介医へ通院中. 20XX年X月X−1日, 気分不良を自覚し, 紹介医を受診した. 心電図にて特記所見なく, 帰宅となった. 翌X日, 紹介医の定期通院日のため再受診. 心電図にてV3-V6誘導に新規に0.3mVの下向型ST低下を認め, 急性冠症候群 (ACS) 疑いで当科紹介となった. ACSと診断し, 右橈骨動脈からの経皮的冠動脈形成術 (PCI) へ移行した. 左前下行枝に高度狭窄を認め同部位に対してPCIを施行したものの心電図変化の改善は得られなかった. カテ中に, X−1日の紹介医では正常だった血清クレアチニン値が, 当院来院時の採血で5.28mg/dLと異常高値であることが判明した. 引き続き急性腎不全の治療を行う方針としたが, カテ室で徐々に血圧低下をきたし心肺停止となった. 経皮的人工心肺補助装置 (PCPS) を挿入し, 造影CTを撮像したところ腹部大動脈瘤の下大静脈穿破を指摘した. 緊急開腹手術を行い, 何とか救命し得た症例となった. 腹部大動脈瘤の下大静脈穿破に急性冠症候群と急性腎不全を合併した貴重な症例と考えられ, 若干の文献的考察を交えて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.S1_34