逆伝導陰性P波が三尖弁下大静脈間峡部線状焼灼により“陽性化”した房室結節回帰性頻拍の1例

背景:一般的に逆伝導P波は下壁誘導で陰性波を形成する.Waldoらは前結節間伝導路を素早く興奮する症例ではこれが陽性となることを開心術中の症例で示したが,臨床例での報告は限られる.症例は46歳女性.動悸を主訴に来院した.電気生理学的検査の結果,通常型心房粗動と房室結節回帰性頻拍が誘発された.房室結節回帰性頻拍中の下壁誘導におけるP波極性は,三尖弁下大静脈間峡部線状焼灼前後で陰性から“陽性”に変化した.考察:三尖弁下大静脈間峡部の線状焼灼,すなわち後結節間伝導路の離断により房室結節回帰性頻拍中の逆伝導P波は“陽転化”した.これはWaldoらの仮説を支持している.発作性上室性頻拍の鑑別においてこの...

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Published in心臓 Vol. 48; no. SUPPL.2; p. S2_86
Main Authors 川﨑, 真佐登, 古川, 善郎, 山田, 貴久, 森田, 孝, 玉置, 俊介, 岩崎, 祐介, 菊池, 篤志, 近藤, 匠巳, 石見, 成史, 伯井, 秀行, 尾崎, 立尚, 佐藤, 嘉洋, 瀬尾, 昌裕, 池田, 依代, 福原, 英二, 福並, 正剛, 鈴木, 文男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 30.12.2016
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Summary:背景:一般的に逆伝導P波は下壁誘導で陰性波を形成する.Waldoらは前結節間伝導路を素早く興奮する症例ではこれが陽性となることを開心術中の症例で示したが,臨床例での報告は限られる.症例は46歳女性.動悸を主訴に来院した.電気生理学的検査の結果,通常型心房粗動と房室結節回帰性頻拍が誘発された.房室結節回帰性頻拍中の下壁誘導におけるP波極性は,三尖弁下大静脈間峡部線状焼灼前後で陰性から“陽性”に変化した.考察:三尖弁下大静脈間峡部の線状焼灼,すなわち後結節間伝導路の離断により房室結節回帰性頻拍中の逆伝導P波は“陽転化”した.これはWaldoらの仮説を支持している.発作性上室性頻拍の鑑別においてこの知見は,より正確な術前診断に資すると思われる.結語:逆伝導陰性P波が三尖弁下大静脈間峡部線状焼灼により“陽性化”した房室結節回帰性頻拍の1例を経験したのでこれを報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.S2_86