風疹HI 法の抗体価はEIA 法でどのくらいか

厚生労働省研究班は女性に対し風疹HI 法16 倍以下をワクチンの接種対象とするように勧告したが,EIA 法ではどのくらいの抗体価となるか不明であった.そのため,HI 法とEIA 法による抗体価を比較検討した.対象は入学時抗体検査で風疹HI 抗体64 倍以下の520 検体において,HI 抗体価とデンカ生研およびエンザイグノストのキットによるEIA-IgG 抗体価を比較した.HI 法と比べたデンカ生研EIA 法の陰性的中率は91.3%,陽性的中率は99.8%,エンザイグノストEIA 法の陰性的中率は93.4%,陽性を15IU/mL あるいは10IU/mL 以上とすると,陽性的中率はそれぞれ97.9...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 83; no. 1; pp. 26 - 30
Main Authors 若林, 時生, 尾内, 一信, 寺田, 喜平, 荻田, 聡子, 井上, 美佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.01.2009
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi.83.26

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Summary:厚生労働省研究班は女性に対し風疹HI 法16 倍以下をワクチンの接種対象とするように勧告したが,EIA 法ではどのくらいの抗体価となるか不明であった.そのため,HI 法とEIA 法による抗体価を比較検討した.対象は入学時抗体検査で風疹HI 抗体64 倍以下の520 検体において,HI 抗体価とデンカ生研およびエンザイグノストのキットによるEIA-IgG 抗体価を比較した.HI 法と比べたデンカ生研EIA 法の陰性的中率は91.3%,陽性的中率は99.8%,エンザイグノストEIA 法の陰性的中率は93.4%,陽性を15IU/mL あるいは10IU/mL 以上とすると,陽性的中率はそれぞれ97.9%,98.1%であった.HI 抗体価とデンカ生研EIA-IgG 抗体価との相関係数は0.715(p<0.0001),エンザイグノストEIA-IgG抗体価との相関係数は0.610(p<0.0001)であった.デンカ生研とエンザイグノストのEIA-IgG 抗体価同士の相関係数は0.753(p<0.0001)であった.HI 法16 倍以下は,およそデンカ生研キットでは9.0 未満,エンザイグノストキットでは30IU/dL 未満に相当した.WHO や米国では10IU/mL 以上がprotective antibody(防御抗体)であるとしているので,接種対象をHI 法16 倍以下とするわが国の勧告はその3 倍高い.わが国では女性の再感染を防止する目的であるがその基準は高すぎると考えられた.またわが国のEIA 法のキットは国際基準が使用できるためにも早急に国際単位(IU/mL)で表示すべきであると思われた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi.83.26