スギ・ヒノキ花粉症に対する塩酸セチリジンとロラタジンの臨床効果について

2005年度, 山口県のスギ, ヒノキ花粉飛散状況は, 短期間に飛散量が急激に増大し, 急激に減少する傾向を示した。このような状況下で抗ヒスタミン薬の2剤比較研究を行った。対象は2005年に山口県内の研究協力施設を受診した16歳以上のスギ花粉症患者のうち, 比較試験に同意の得られた69名である。初診時に, 患者を塩酸セチリジン群とロラタジン群の2群に無作為割付を行った。内服開始後の鼻症状, 眠気の程度は, 患者日記に記載するように指導し, 回収後, symptom scoreを算出し, 2群間で比較した。スギ花粉, ヒノキ花粉とも, 飛散数の著明に増大した時には, すべての患者において鼻症状が...

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Published inJIBI INKOKA TEMBO Vol. 49; no. 4; pp. 208 - 213
Main Authors 山下, 裕司, 野中, 隆三郎, 御厨, 剛史, 米田, 敬, 菅原, 一真, 田中, 邦剛, 綿貫, 浩一, 金谷, 浩一郎, 緒方, 正彦, 清水, 敏昭, 伯野, 卓, 梅原, 豊治, 橋本, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 2006
Society of Oto-rhino-laryngology Tokyo
Subjects
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.49.208

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Summary:2005年度, 山口県のスギ, ヒノキ花粉飛散状況は, 短期間に飛散量が急激に増大し, 急激に減少する傾向を示した。このような状況下で抗ヒスタミン薬の2剤比較研究を行った。対象は2005年に山口県内の研究協力施設を受診した16歳以上のスギ花粉症患者のうち, 比較試験に同意の得られた69名である。初診時に, 患者を塩酸セチリジン群とロラタジン群の2群に無作為割付を行った。内服開始後の鼻症状, 眠気の程度は, 患者日記に記載するように指導し, 回収後, symptom scoreを算出し, 2群間で比較した。スギ花粉, ヒノキ花粉とも, 飛散数の著明に増大した時には, すべての患者において鼻症状が出現し, 2群間では明らかな差を認めなかった。しかしながら, 飛散数が減少し始めた時期においては, 塩酸セチリジン群において, 鼻症状は抑制される傾向を認めた。大量飛散時には, 抗ヒスタミン剤のみでは鼻症状を完全に制御することは難しく, 抗ヒスタミン薬の2剤の比較研究は困難であると思われた。むしろ, 飛散量の減少した時期に比較することで, 2剤間の差を検出することができると考えた。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.49.208