左肺動脈欠損により拡大した右肺静脈が心房細動の不整脈基質と考えられた1例

55歳男性.2015年4月,健診で心房細動を指摘され前医を受診した.抗凝固療法を開始し,電気的除細動により洞調律となるもシベンゾリン内服下での再発を認め,アブレーション目的で当院紹介受診となった.術前CTにて左肺動脈本幹は欠損しており,左肺は縮小していた.左肺動脈末梢は左冠動脈回旋枝からの側副血行路により還流されていた.左右上下肺静脈は存在していたが,左下肺静脈は小さく,右上下肺静脈の拡張が顕著であった(右上:31.1×15.8mm,右下:30.3×17.7mm,左上16.5×11.8mm,左下9.2×11.0mm).リング状カテーテルを挿入すると各肺静脈には肺静脈電位が認められた.カテーテル...

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Published in心臓 Vol. 48; no. SUPPL.2; p. S2_64
Main Authors 橋口, 直貴, 小竹, 康仁, 赤岩, 譲, 安岡, 良文, 元木, 康一郎, 栗田, 隆志, 宮崎, 俊一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 30.12.2016
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Summary:55歳男性.2015年4月,健診で心房細動を指摘され前医を受診した.抗凝固療法を開始し,電気的除細動により洞調律となるもシベンゾリン内服下での再発を認め,アブレーション目的で当院紹介受診となった.術前CTにて左肺動脈本幹は欠損しており,左肺は縮小していた.左肺動脈末梢は左冠動脈回旋枝からの側副血行路により還流されていた.左右上下肺静脈は存在していたが,左下肺静脈は小さく,右上下肺静脈の拡張が顕著であった(右上:31.1×15.8mm,右下:30.3×17.7mm,左上16.5×11.8mm,左下9.2×11.0mm).リング状カテーテルを挿入すると各肺静脈には肺静脈電位が認められた.カテーテル開始時は洞調律であったためイソプロテレノールを投与したところ,右上下肺静脈起源の期外収縮が再現性をもって出現し,同肺静脈に不整脈源性があると考えられた.高頻度ペーシングでは通常型心房粗動のみが誘発された.アブレーションは,CARTOガイド下に通常通りの拡大肺静脈隔離と三尖弁-下大静脈間線状焼灼を行った.合併症なく手技を終了し,以後頻拍の再発を認めていない.容量負荷により拡張した右肺静脈に不整脈基質が形成された興味ある1例と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.S2_64