初発症状がマラソン中の心室細動であった顕性WPW症候群の1例

症例は32歳, 男性. 既往歴に特記事項なく, 突然死の家族歴も. 25歳時の健診でWPW症候群を指摘されていた. 頻拍発作の既往はなかった. 運動習慣はなかったが, マラソン大会に出場し, 8km地点で心室細動となり自動体外式除細動器で電気的除細動された. 電気生理学的検査では副伝導路は左室側壁に認め, 心房期外刺激による副伝導路の順行性有効不応期は基本周期600msで250msであった. 副伝導路の逆伝導は認められず, 房室回帰性頻拍は誘発されなかった. イソプロテレノール投与下に心房期外刺激で頻拍周期157msの心房頻拍が誘発され, 副伝導路を2対1で伝導していた. 副伝導路を焼灼後,...

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Published in心臓 Vol. 46; no. SUPPL.3; pp. S3_28 - S3_35
Main Authors 松本, 健佑, 武, 寛, 大原, 美奈子, 伴場, 主一, 大江, 透
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
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Summary:症例は32歳, 男性. 既往歴に特記事項なく, 突然死の家族歴も. 25歳時の健診でWPW症候群を指摘されていた. 頻拍発作の既往はなかった. 運動習慣はなかったが, マラソン大会に出場し, 8km地点で心室細動となり自動体外式除細動器で電気的除細動された. 電気生理学的検査では副伝導路は左室側壁に認め, 心房期外刺激による副伝導路の順行性有効不応期は基本周期600msで250msであった. 副伝導路の逆伝導は認められず, 房室回帰性頻拍は誘発されなかった. イソプロテレノール投与下に心房期外刺激で頻拍周期157msの心房頻拍が誘発され, 副伝導路を2対1で伝導していた. 副伝導路を焼灼後, デルタ波は消失した. 右室心尖部及び流出路からプログラム刺激を行ったが心室細動は誘発されなかった.  本症例は副伝導路の有効不応期は短くなかったが, 上室性頻拍から心室細動へ移行したと推測された. 初発症状が心室細動であった顕性WPW症候群の1例を経験したため報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.S3_28