肺移植とリハビリテーション

「はじめに」臓器保存技術, 手術技術, 免疫抑制剤, 抗生物質などの進歩により, 肺移植の術後成績が向上している. 2018年9月30日までに脳死・心停止肺移植は, 肺移植435名, 心肺同時移植3名であり, 平均待機期間は906.8日(約2年5か月)である. わが国では移植後5年で肺移植者が生存している割合(生存率)は, 73.4%, 移植後5年で臓器が機能している割合(生着率)は, 72.2%であり, それぞれアメリカの55.0%, 52.5%を大きく上回っている. 肺移植待機患者で肺移植を実施していない人の登録後の5年生存17%(2012年12月末時点)に比較すると, 肺移植が患者の生命...

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Published in移植 Vol. 54; no. 6; pp. 265 - 271
Main Author 上月, 正博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2019
日本移植学会
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.54.6_265

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Summary:「はじめに」臓器保存技術, 手術技術, 免疫抑制剤, 抗生物質などの進歩により, 肺移植の術後成績が向上している. 2018年9月30日までに脳死・心停止肺移植は, 肺移植435名, 心肺同時移植3名であり, 平均待機期間は906.8日(約2年5か月)である. わが国では移植後5年で肺移植者が生存している割合(生存率)は, 73.4%, 移植後5年で臓器が機能している割合(生着率)は, 72.2%であり, それぞれアメリカの55.0%, 52.5%を大きく上回っている. 肺移植待機患者で肺移植を実施していない人の登録後の5年生存17%(2012年12月末時点)に比較すると, 肺移植が患者の生命予後を著しく改善していることが明らかである. わが国では1997年に臓器の移植に関する法律(通称 臓器移植法)が施行されたことで, 脳死での臓器提供による移植が可能になったが, 2017年の肺移植数は56(人口100万人当たり0.4)と, アメリカの2,449(人口100万人当たり7.6), フランスの384(人口100万人当たり5.9), イギリスの198(人口100万人当たり3.1), ドイツの309(人口100万人当たり3.7)など海外に比較すると少数にとどまっている.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.54.6_265