重度・重複障害者の意思表出を促す取り組み : スイッチ操作の向上と意思表出行動の促進

本研究は、重度・重複障害を有する成人の意思表出の促進を目指した支援に関する実践研究である。スイッチ操作の向上と、主体的な意思表出が相互に促進し合うという仮説をもとに、筆者自作のスイッチとパソコン教材を用いて支援を行い、その有効性を検討した。スイッチや教材を介した支援者とのかかわりの中で、当初微弱だった対象者の手の動きは、スイッチに志向した安定したものへと変化した。また、自己選択が問われる課題において、対象者が「決定」の意思を主体的に支援者に示す方法が確立するとともに、意思表出行動の頻度が増加した。対象者の支援者とのやりとりは当初、支援者の働きかけに対象者が応えるという受動的なものが中心だったが...

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Published in特殊教育学研究 Vol. 48; no. 5; pp. 371 - 382
Main Authors 寺本, 淳志, 川間, 健之介, 進, 一鷹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本特殊教育学会 01.01.2011
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ISSN0387-3374
2186-5132
DOI10.6033/tokkyou.48.371

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Summary:本研究は、重度・重複障害を有する成人の意思表出の促進を目指した支援に関する実践研究である。スイッチ操作の向上と、主体的な意思表出が相互に促進し合うという仮説をもとに、筆者自作のスイッチとパソコン教材を用いて支援を行い、その有効性を検討した。スイッチや教材を介した支援者とのかかわりの中で、当初微弱だった対象者の手の動きは、スイッチに志向した安定したものへと変化した。また、自己選択が問われる課題において、対象者が「決定」の意思を主体的に支援者に示す方法が確立するとともに、意思表出行動の頻度が増加した。対象者の支援者とのやりとりは当初、支援者の働きかけに対象者が応えるという受動的なものが中心だったが、スイッチ操作の安定や「決定」の意思表出方法の確立を土台として、対象者を起点としたやりとりが増加した。以上から、スイッチ操作の向上と、主体的な意思表出の促進の相互関係を踏まえた支援の有効性が示唆された。
ISSN:0387-3374
2186-5132
DOI:10.6033/tokkyou.48.371